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    「鋼の錬金術師」ブラッドレイ大総統の笑顔は胸が熱くなるな

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    野村宗弘先生の「ものものじま」1巻と「とろける鉄工所」4巻が同時に発売されて、本屋の片隅にノムフェス開催と謳われていました。


    親の仕事を受け受け継いで代々暮らす島で、唯一ものを作らない小間使い屋の話の「ものものじま」と、世界唯一の溶接を題材にした「とろける鉄工所」。キモは暮らしというか生活です。個人的に、北さん夫婦の団らんに和むのです。

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    北さん夫婦

    3巻で若き日の北さん&奥さんを見てから、この2人が好きすぎて困る。4巻は小島家もほのぼのと眺めて癒されてしまいます。個人的にですが、溶接の仕事よりもそこで働く人の家族話が一番好きです。

    さて、「鋼の錬金術師」の25巻が発売されました。物語も最終局面を迎えているようで、物凄い盛り上がりです。いきなりバッカニア大尉に震えるのです。

    で、個人的に最も胸が熱くなったのは、キング・ブラッドレイなのです。これほどまでに私の心に残る悪役はいませんでした。存在感が半端ないです。25巻はどう考えてもブラッドレイがかっこ良すぎるのです。

    作中でも最強候補というぐらい圧倒的な強さを誇っていましたが、フーとバッカニアが命を駆けて作った隙をついて、グリードの最強の目である左目が潰されて、ホムンクルス特有の再生能力がなくなってしまいました。ボロボロの体のまま、ロイたちの前に現れ、ロイが人体練成に走らなかった事を知り、笑ってみせたのです。
    ※もともと再生能力などないという指摘を沢山頂きました。そういえば傷を追ったことすらなかったですね。

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    ブラッドレイ

    まったく人間というやつは…、思い通りにならなくて腹が立つ

    ホムンクルス側にとってはお父様の計画の為に、ロイには人体練成をしてもらって何が何でも人柱として使いたいのに、ここで笑顔です。計画通りに物事が進まないのにも関わらず、笑ってみせるブラッドレイに胸が熱くなるのです。

    そう、ブラッドレイは何時も不敵に笑っていますが、計画通りというか思い通りにならない時こそ本気で笑うのがポイントなのです。エルリック兄弟やロイが何か仕出かす度に、ニヤリと笑って見せたのが興味深かったのです。さらに、ランファンが左腕を失った時にも、犬に左腕を括りつけて囮にして、ブラッドレイが出し抜かたら「…見事なり!」と笑っていたのです。出し抜かれて笑うとは…。

    ブラッドレイは計画通りというか自分の思い通りにならない時は、やられたと悔しがらずにどういうわけか笑ってしまうのです。マスタングに出し抜かれれば、やはり笑顔を見せていました。

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    笑顔の大総統

    やってくれたな若僧…

    心情では悔しがっているはずなのに、顔がどういうわけか笑顔でニヤリと笑っているのがブラッドレイを語る上で最も重要なことです。何が嬉しいのでしょうか…。

    もちろんブラッドレイは容赦や手加減はせずに、この後はロイへの圧力を高めてロイの部下達を地方に飛ばし、リザを自分の手元へ置くなど、徹底的に計画の為に動きます。ブラッドレイは徹底的なリアリストで本気で相手を潰すのに、それでも逆らってくる相手に、悔しがるでも怒るでもなく笑顔を見せてしまうのです。

    それでも、計画通りに動かない敵として登場するエルリック兄弟やロイに対しては何か思う事があるようで、プライドとの会話では思わず本音が出てしまっていました。

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    少し…楽しい

    スカーを殺し損ねた時、最近は振り回されてばかりではないかと言われれば笑顔で「少し…楽しい」と言ってのけたのです。予定外の事が立て続けに起きたからこそ楽しいと言うブラッドレイ大総統。さらに、ブラッドレイの台詞は胸を熱くさせます。

    「生まれて直ぐにキング・ブラッドレイのレールの上に乗せられ、こうして今、父上の予定通りにこの国のトップに座っている。邪魔する者はいなかった…。否、父上が排除した。予定通りの台本を用意され私はそのまま生きて来たのだ」

    数少ないブラッドレイの本音です。生まれて直ぐに、ブラッドレイとしてレールの上に乗せられて何の障害もないまま生きてきた事に退屈だったのかもしれません。ここに来て、エルリック兄弟とマスタング大佐とスカーという邪魔者が出てきて、心底楽しそうなのが印象的です。ブラッドレイは賢者の石に選ばれた時に、人生は全て決められていたのです。

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    キング・ブラッドレイ

    周りからは「後の事は、あのお方に任せておけば良い」、「経歴も財産も家族も友達もなんでも用意してくれるだろう!」と言われ、キングブラッド・レイという名前を付けられ、後は用意されたレールの上を歩くだけ。

    その後も、マスタングが飼い犬になっても負け犬にはならないと言いだせば、やはり笑って頷くブラッドレイが忘れられません。邪魔な敵に対して笑う男。作られたレールに不満があったかどうかは分かりませんが、満足はしていなかったのでしょうか。

    その後も、ピンチや計画を狂わされれば笑うブラッドレイ。リザに全て「ごっこ」だと言い放ったのは興味深いです。

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    ごっこ

    「大総統の座も部下も力も全て与えられた。いわば権力者ごっこだ」

    大総統という地位はごっこだと言い放つブラッドレイ。こいつは、ただの駒として手加減抜きで全力で動いているくせにどこか満足していないのです。

    で、25巻で左目も失い再生能力もない状態でスカーと向かい合えば、名前を聞いたかと思えばスカーは名前を捨てたと言い、ブラッドレイは「私も己の本当の名を知らん」と、名無し同士で殺し合うのも面白かろうと最後の闘いに突入するのです。

    スカーの本当の名前も気になるところですが、ブラッドレイが自身をブラッドレイと名乗らなかった事に胸が熱くなります。作中で唯一ブラッドレイの視点で語られた53話「魂の道標」ではブラッドレイは●●●●●と呼ばれていました。ようは名無しです。彼の回想は以下のようなもの。

    本当の親の名も名前も顔も…自身の名すら覚えてない
    いや…名を付けられる前に捨てられたか買われたか…

    もう自分の名前を本当に覚えてないブラッドレイ。だからこそ、スカーとの最後の一騎打ちでブラッドレイと名乗らず、自分の名前を覚えていないと言い放ったのは胸が熱くなるのです。レールの上のブラッドレイとしてではなく、一個人として名乗らなかったのです。

    そういえば以前はブラッドレイは自分の事を分からないと語っていました。

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    分からない

    「ここに残るそのたったひとつの魂が、賢者の石にされた誰かのものなのか、元々の己のものなのかはもう…わからんのだ

    もう自分の事は何も分からない男ブラッドレイ。ただただ決められたレールの上を歩くだけの人生。最後の最後で、エルリック兄弟やロイやスカーやシンの国の者たちが障害となって立ちはだかり、計画通りにいかなくなった事が楽しいと言い放ち笑っていた男。最後の相手はスカー。その時の台詞があまりに名言なのです。

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    ああ…やっと辿りついた…

    「こうして死に直面するというのはいいものだな。純粋に『死ぬまで闘い抜いてやろう』という気持ちしか湧いてこん。地位も経歴も出自も人種も性別も名も何も要らん何にも縛られず、誰のためでもなくただ戦う。それが心地良い。ああ…やっと辿りついた…」

    胸が熱くなったんだ…。なんという名言が飛び出したのか。ただレールの上を全てを与えられ決められた人生を歩いて来た男が最後に導きだした答えは何もいらないです。レールの上の決められた人生ではなく、ただ自分の為にです。

    この時の103話のタイトル「誰のため」というタイトルを見ると胸が熱くなるな。ブラッドレイ大総統はここからさらに熱いのに25巻に収録されてなくて絶望した!

    そういえば4年ほど前に、荒川先生は久米田先生と対談しており、ラストについて以下のようにコメントしていました。

    ―荒川さんの「鋼」は長編ストーリー漫画ですが、最後のほうまで構想が決まっているんですよね。
    荒川「そうですね。今はどのくらいかなあ。全体を10としたら7あたり走ってるんじゃないかな」
    久米田「着地点はもう決まってると」
    荒川「着地点は最初から決めてますんで」

    凄い。この壮大な話の着地点を最初から決めていたなんて。行き当たりばったりな作品が多い中で、ここまで計算している漫画家さんは中々いないんじゃないでしょうか。以前「バクマン。」で計算されて描かれた漫画はヒットは多いけど、大ヒットは漫画家が描きたいものを描いた作品とか言ってましたが、ご存知「鋼の錬金術師」は大ヒット漫画です。これは純粋に凄いですよ。

    そういえば、久米田先生が描いた「鋼の錬金術師」は味わい深くて、個人的にツボにはまってしまい大好きです。

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    久米田先生が描いた鋼錬

    何にしても、もうすぐ終わりそうで、ここにきて再び盛り上がりを見せる「鋼の錬金術師」はマーベラスです。そうそう、久米田先生と荒川先生の対談といえば、久米田先生も「鋼の錬金術師」をベタ褒めしていたのが興味深いです。

    久米田「『鋼』はちゃんと本を読んで描いてる感じします。もう一個の錬金に比べたら、もう全然。」
    荒川「(笑)あれは、仕事場のみんなでご飯食べに蕎麦屋に入ったら、置いてたジャンプでちょうど第1話が載ってました。やっぱり和月伸宏先生はうまいよね!って回し読みしました。かぶったとかいう話は特にしませんでしたね。」
    久米田「僕は和月さんなんて一言も言ってませんよ。またそうやって僕を悪者にしようとして。罠ですか、コレ?」

    胸が熱くなったんだ…。

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  • タアモ先生の新連載「たいようのいえ」がニヤける

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    先日、「ニコイチ」の7巻がようやく出ました。ヤンガン創刊号から連載しているのなやっと7巻かよと思いつつ嬉しいのです。オビには「須田真琴30歳、運命のカミングアウト決定!」と書かれており、ついに自分が本当はお母さんではなくお父さんだと崇に告白か?


    いよいよ女装をカミングアウトをすると決意するものの、次々と新たな障害が出てきてしまう7巻。見所はやはり天然でドSの菜摘さんに思わずニヤけてしまうのです。元気ない真琴を励まそうと、セーラー服を着てきた姿に私はガッツポーズをするのです。

    7巻のキモは、崇のガールフレンドの愛耶ちゃんなのは言うまでもありません。真琴を敵視していたのに加え、靴を洗ってくれて叱った男の真琴にときめいてしまいデートする時、この娘はくそ生意気な娘から大変可愛らしいツンデレ娘に変身するのでした。

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    愛耶ちゃん

    洗ってあげた靴を履いてきて照れてしまったでござるの巻き。で、大変可愛らしいおませなツンデレ娘となった愛耶ちゃんが、男の真琴に対して「貴方はいいパパになるわね」という言葉が最後のひと押しとなるのです。で、7巻はここで終わりかよというスン止めっぷり

    はやく8巻を出してくれと思うところですが、困った事に金田一蓮十郎先生は、ヤングガンガンの「ニコイチ」だけでなく、増刊で「アストロベリー」、ガンガン本誌で「ミリオンの○×△□ 」に加えて、デザートで「ライアー×ライアー」まで連載初めて、ちょっと仕事しすぎだろう状態なのです。

    さて、というわけでプリンセス以来となる女性誌で金田一蓮十郎作品もあり、私はデザート読者になりました。なんといっても、タアモ先生が新連載です。タイトルは「たいようのいえ」。

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    たいようのいえ

    表紙を見ただけでニヤニヤとしてしまう。17歳花の女子高生の真魚と社会人の基の孤独な2人が幸せを見つける話でしょうか。表紙の煽り文は以下のようなもの。

    フツーでいいから幸せになりたい…。孤独な2人の「幸せ」奪還の日々が始まる―。

    最初の導入は過去の話から。真魚の家は両親が仕事で不在がちで、よく隣の中村さんの家で遊んでいたものの、中村家の両親が事故で他界。中村家の3兄妹もバラバラになってしまい、基は一人で家を守っているという。真魚も両親が離婚して父親に引き取られたものの、父親が再婚して家で居場所なし。真魚も基も普通の幸せもない孤独な感じ。

    で、やはり個人的に真魚の可愛さにニヤニヤとしてしまうのです。

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    真魚

    ビジュアル的な可愛さも破壊力抜群なのですが、タアモ作品ヒロインの魅力は以前説明した通りで、特に重要なのは本音と建前のギャップの心情なのです。

    基に頭をぐしゃぐしゃにされれば「ぐしゃぐしゃになった!」と怒っていながら、『でも頭触られるのは嫌いじゃない』と本音で思ってしまう姿の可愛さは言葉では語れないのです。そう、建前と本音のギャップにひたすらニヤニヤするのです。

    例えば、基に妹が帰って来ると聞いて「ふーん」とそっけない対応をしてしまいました。そしてファミレスで、この時は本当は「ちょっと羨ましかったんだ。ごめんね」と思っていた事が発覚。でも、言葉では言わないというか言えないという不器用さが最高に可愛いのです。

    そして、思っている事がなかなか言えない行動に出れない中で、思わず甘えてしまった時の破壊力は、今週の「ハンター×ハンター」(306話)のゴンのように圧倒的なのです。 つまり、思わず基の背広をぎゅうって掴んでしまった真魚の仕草が悶絶するほどツボに嵌ってしまったのです。

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    非常にニヤニヤする

    おいおい真魚が可愛すぎるだろう、と。さらに憎い演出なのかたまたまなのか背広を掴んでしまった時は基の顔がノッペラボウでどんな表情をしているのか見えません。

    基本的にタアモ先生の描く男はけっこうキツイ顔して実は優しいというギャップがあります。今のところ基は真魚に恋愛感情があるのかどうか読めません。

    一方の真魚は子供の頃からツンデレ娘全開の天の邪鬼するものの「あたしはなんでか、この人のことが気になる」と思うぐらい基に対して高感度高いです。

    で、「たいようのいえ」の注目すべき点はアプローチの方法。1ページ目の導入部分で以下のように始まっています。

    そこは むかし
    魔法のような家で
    泣いてても笑っちゃいような場所で
    きっと、目に見えない魔法使いが住んでるんだって
    ずっと思ってた

    と、中村家をバックにナレーションが始まります。もちろん「たいようのいえ」の主人公は真魚です。真魚の視点で語り手も同じなんですが、刮目すべきは真魚が携帯小説をネットにアップしているという点。

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    携帯小説をアップしている

    なんでも、真魚の自伝を交えた小説らしいのです。すでに真魚の友人も読者のようです。そう、「たいようのいえ」の語り手は真魚によるものなのですが、真魚の心情に加えて、真魚の書いた小説までがナレーションになっているのです。

    最初の1ページ目のナレーションと1話目ラストは真魚の書いた小説です。ポイントは、「目に見えない魔法使いが住んでるんだって、ずっと思ってた」と始まったわけですが、目に見えない魔法使いなどいないと何時知ったのかという点かな。

    基の家に泊まる事になって、真魚の真理描写は「よくわかんないことになっちゃったけど、今日は」と語られるのに対して、携帯小説では以下のように…。

    その日の布団は、あったかくて
    びっくりするくらい、よく眠れた

    と、綴られています。小説というくせに日記みたいだなと突っ込みたいところですが、「今日は」という心情から、「その日は」と後日の視点から過去形で語られているのが面白いです。心情と携帯小説という2種類の語り手というのはなかなか面白そう。エロゲでいうと「智代アフター」みたいな感じです。

    しかし、黒髪ロングで黒タイツという組み合わせには夢と浪漫がつまっていますね。

    何にしても非常に楽しみです。復活してから月刊誌の作品で何を取り上げようかと思ってましたので、今年は「たいようのいえ」を追っていこうか。