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    「時間の歩き方」がマーベラス!

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    榎本ナリコ先生の「時間の歩き方」が非常に面白い!ノリ自体は「世界制服(AA)」や、そのスピンオフ「聖モエスの方舟(AA)」のような感じで明るいテンポ良いギャグのような感じ。「世界制服」で頭のネジが何本か吹っ飛んだのかと思いましたが、そのノリを上手く使っているかなという感じ。

    最近は「センチメントの季節」の頃に比べると芸風が変わりまくってしまったいる榎本ナリコ先生。ちなみに、「センチメイトの季節」はいわゆる、当時の女子中高生の視点で性的にだらしない実態をリアルに描いたもので、つまり非常にお世話になったのです。

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    センチメイトの季節

    昔はお世話になったなぁと思いつつも、最近のぶっ飛んだノリも大好きです。その中でも「時間の歩き方」は、特に素晴らしい。というのも「世界制服」みたいに、ぶっ飛んだ設定という事もなく丁寧に世界観を作っているという感じ。

    1巻発売の時にちょろっと取り上げましたが、「時間の歩き方」は俗に言うところのタイムトラベルもので、主人公の杉田果子は学校の恋をするほくフツーの女子中学。でも、1点だけ特別な力があり、時たま扉を開けると勝手にタイムスリップしてしまうという特殊な能力の持ち主。そしてタラベラー井村遇太に出会って…というもの。

    "時間"には様々なルールがあり、それを破ると時間の流れから弾き出されてしまい、安易に歴史を変えるという事が出来ません。そして、過去に戻って先輩の死を止めようと頑張るのですが、時間は未来を変える事を許してくれません。それでも、と何度も挑戦する果子は最終的に未来の自分が死んで先輩を助ける事に成功。そして、果子と遇太は時間の流れから弾き飛ばされてしまい…というもの。

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    時間の流れから弾き飛ばされる

    掲載誌が掲載誌なので地味にひっそりとした良作という感じでしたが、1巻の感想を読むと、1巻の段階で面白く2巻に期待しているという印象。

    幻想のさ・く・らさん (半年振りに更新してやがる)
    やー、これは買って成功でしたね。2巻にも期待。

    オトコでも読める少女マンガさん
    「ファンタジーではありますが、『都合の良い不思議な力で元通り!』なんてことはなく、あくまで時間のロジックで話を展開させます。だからこそ、面白い。」

    良キ漫画求ム!さん
    さわやかで優しい雰囲気のタイムトラベルもの。おすすめです。

    と、中々の絶賛ぶり。
    私も1巻の段階で続きが気になって気になっていましたが、ついに2巻が発売されました。1年半振りの新刊だと思うと嬉しいものです。「時間の歩き方」の2巻がようやく発売されました。


    時間から締め出され、時空を彷徨う果子と遇太。サクッと読了。相変わらず、超面白かったです。2巻では果子と遇太は脇役という感じで、締め切りに追われる小説家・長雨綴が時間刑務所に囚われており、彼が何故時間刑務所に拘束されているのか…という話がメイン。長雨綴がタラベル中に出会った、100年前の人物月乃との関係が胸熱というもの。

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    長雨綴と月乃

    あえて自分を罰して長雨綴が述べた「それは『あったこと』で『すんだこと』なんだ。妙なことして『なかったこと』にすんなよ」と言っていた台詞が、100年前に長雨綴に起こった出来事を知った上で読み返すと、胸が熱くなるな。

    そういえば、2巻では長雨綴の50年というペナルティが多過ぎると描かれていましたが、月乃が死ぬまで覚えていた事が理由だったと明かされていました。未来人が記憶を消したはずが記憶を覚えたいたからだと判明していました。

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    記憶がある

    どうやら遇太の存在を忘れなかった果子のせいで、遇太のペナルティが大きくなった原因がありそうな感じ。というか、なんで記憶の消去が起こらなかったのでしょうか。今の所、記憶の消去をされたはずがバッチリ覚えていたのは、果子と月乃の2人だけ。サンプル数が少ないので共通点が全然分かりません。果たして、何が理由で記憶の消去が無効なのか。

    最後に胸を痛めて「遇太のこと忘れたくない」と思う果子。ひょっとして恋でしょうか。何にしても胸が熱くなり、続きが非常に楽しみというもの。まだまだ様々な伏線があり、明かされていないので3巻にも期待というところ。


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  • 羽柴麻央選集「宵待ブルー」が良かった!

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    「イロドリミドリ」「私日和」といった極上の読み切り集の羽柴麻央先生の新作短編集「宵待ちブルー」が発売されました。収録作品について、後書きで羽柴先生は以下のようにコメント。

    未収録、再収録、どれもこれも古い作品ばかりです。過去の自分との対面は照れくさいもので、うへへへへ…といった感じです。

    というわけで、昔の作品を厳選した作品集となっています。3本の初収録と2本の再録。厳選されただけあって、どれも珠玉の話です。表題作を含む「ネバーランド」「マブタノヒト」「宵待ちブルー」「ソラミミ」「光のテーマ」の5本。ニヤニヤする話から感動して泣く話まで様々です。

    一気に読了。
    うん、本当に素晴らしいな!どの話も珠玉の出来という感じです。全体的に言えば、けっこうズシッと重い話が多いのですが、それでも読んで良かったといえます。

    個人的にストライクど真中だったのは「マブタノヒト」。いや、これはマーベラスというものですよ!高校時代に、想いを伝えずに終わった恋を4年経っても引きずる今井の視点で物語は始まります。

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    今井の視点

    16歳の高校時代。桜散る春、教室で出会った名前も知らない女。「一目惚れ…?」とそこから恋に落ちてしまった忘れられない女・栗原。結局付き合うという事もなく、離れ離れになってしまいました。それを4年経った今でも引きずる今井。夜の11時に栗原からの電話を30分前から待機し、待っていた事を悟られない様に眠そうなフリをするなどカッコツケマン

    大学の後輩に好かれているものの、いまいちやる気がないというか無気力な今井。ついに可愛い後輩に告白されるも、視線に映ったのは4年経った今でも引きずった栗原の姿。そして…、という。

    そして、今井視点で語られた「瞼の女(まぶたのひと)」とは別に、今度は栗原の視点で物語が綴られる「瞼の男(まぶたのひと)」が開始。

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    栗原の視点

    「マブタノヒト」はそれぞれ男女の視点から描かれているのです。個人的に最も男女の視点を交差させて描いた作品といえば、藤原よしこ先生の傑作「キス、絶交、キス(AA)」。男女それぞれの視点で描き物語に深みが出ていました。小学5年生の時からお互い好きなのにという前提で男女それぞれの視点なのは、お互いの心情が伝わりやすく胸きゅんしまくり。

    最近だと、タアモ先生の「たいようのいえ(AA)」。こちらも男女の視点が1話ごとに入れ替わって描かれています。先月お勧めとして紹介しましたが、1点欠点を上げると「たいようのいえ」では男女の視点で描いても…という。というのも温かい話とニヤける話のバランスが良く、男・基が真魚に恋愛感情ないのが一発で分かってしまいどうもという。

    で、「マブタノヒト」は男女の視点のバランスが絶妙すぎるというもの。両者が今でも4年前の恋を引きずっている事が「瞼の女(まぶたのひと)」では今井の心情で、「瞼の男(まぶたのひと)」では栗原の心情でしか分からないという。つまり、今井から見た栗原はクールな美少女にしか映っていないし、栗原から見た今井はクールな少年にしか映っていないという。

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    今井から見た栗原

    どう見てもクールな美少女。これは栗原から見た今井にも言えますが、相手の事をかなり美化しているというかタイトル通りマブタノヒトという感じでリアルではないという。


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    実際の栗原

    実際はこんなかよみたいな。
    「瞼の女(まぶたのひと)」ではウジウジとしょうもない今井だと思ったら「瞼の男(まぶたのひと)」では無駄にカッコイイ今井という。視点が変わった事によって、そのキャラが見た相手というのがまったく変わっているのが超ウマイ。視点の変化によって初めて理解できる事柄が沢山あってマーベラスというものですよ!

    で、ストーリーも素晴らしいという。ラストの電話のシーンの読了後の清々しさは半端じゃありません。あと、表題作にもなっている「宵待ちブルー」は、夜に一緒に過ごす中学生の淡い恋の話かと思ったらどっこい、終盤で話が一気に転がって感動的なストーリーとなっています。ぶっちゃけ、結末を描いて欲しかった気もしますが。

    「宵待ちブルー」は冒頭の野上亜由子の心情で結末が描かれていたという捉え方も出来ます。

    14歳の夏、私は夜が好きで君が好きでした

    という冒頭で始まるわけですが、他の亜由子の心情というものは「君の前では、なぜか素直になれません」、「学校にいるときよりも、少しだけ素直に話せる気がする」と全て現在進行形で心情が吐露されています。でも冒頭だけが「14歳の夏、私は夜が好きで君が好きでした」と過去形になっているので15歳を迎えた…と思いたい!

    個人的にハッピーエンド至上主義なので「光のテーマ」が読後に最も胸熱でした。しかし、どの話も本当に素晴らしくジーンとするというのは凄い。まさに選び抜いいた短編集という感じでした。


    イロドリミドリ (マーガレットコミックス)
    羽柴 麻央
    集英社
    おすすめ度の平均: 5.0
    5 男性が読んでもジンとくる
    5 ほっこり
    5 どれもいい!
    5 愛しい緑
    5 大傑作

    私日和 1 (マーガレットコミックス)
    羽柴 麻央
    集英社
    おすすめ度の平均: 5.0
    5 まってた
    5 「私」たちの恋や友情の日々