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    『べしゃり暮らし』、堂々の完結

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    べしゃり暮らし 19 (ヤングジャンプコミックス)

    『べしゃり暮らし』最終巻なり。
    噛みしめるように読破しましたとも。もともとは学校の爆笑王・上妻圭右の高校青春物語…が、実はそれが前振りでお笑い養成所に入り、ライバルも出そろいM-1のような大会MNCを勝ち抜いていく。終盤の展開がね。いいんだ。めったくそ泣けるんだ。
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    『べしゃり暮らし』、いま一番泣ける漫画である

    泣きましたわー。『ろくでなしブルース』『ルーキズ』もそうなんですけど、森田先生って「人情」とか「男気」を描くのが本当に上手い。『べしゃり暮らし』もカープの黒田選手ばりに「人情」や「男気」が溢れていた。ラストの潤三さんの「にしし」は胸に熱いものが込み上げてくるでしょう。

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    潤三さん

    潤三さんが最期に見せた笑顔はいつかの相方のようだった―ってナレーション入れたくなるぐらいの笑顔だった。『べしゃり暮らし』の最萌えキャラは辻本の父・中西富美男さんで満場一致なんですけど、病院での潤三さんとのやり取りは涙無しでは読めないね。めったくそ泣いた。

    おっさんを描かせたら随一の実力の森田先生の力を拝見できました。魅力的だけどダメなおっさんキャラが素敵すぎる。富美男さんの人としてかなりダメな感じはトキメキざるを得なかった。おっさん萌えの極地を見ましたね。

    この作品の最大のテーマは「相方とは?」という問い。
    漫才のコンビだけなく、夫婦にしても、親友にしても…。

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    相方とは…

    結論はとってもシンプルで普遍的なもの。そこへ向けて「べしゃり暮らし」の2人だけでなく、他のコンビも辿りつく…というラストだった。グッときたね。しかし、読み返してみると「相方とは?」という問いは随分早い段階で答えが描かれていたような気がする。藤川と金本のデジきんのエピソードで。それを自分で見つける紆余曲折が人生なのかもしれない。

    また、『べしゃり暮らし』って名言や至言が多かったけど、格別に胸を打つのは凡人の悲痛な叫びでしょう。「天才」と才能の無い「凡人」をきっちりと分けて描いていた。悲しくなるほどに。デジきんの藤川もそうだったけど。特にるのあーる梵の「もし才能が売ってるなら借金してでも買いたい」と涙ながらの苦悩の描写は何度読んでも胸が詰まる。べしゃりの辻本も圭右の天才ぶりを目の当たりにするうちに自分の凡人っぷりに悩む

    こちらも辿りついた答えはとってもシンプルで普遍的なもの。

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    努力できる才能持ってる人こそが本当の…

    努力と覚悟。
    世の中には天才(無くても強運)はいる。自分には無い。じゃあどうするか。そこで腐らず、覚悟を決めて努力する。やるしかない。やり続けるしかない。努力できる才能を持っている人こそ本当の天才。という結論は王道ながらも正道でリアルだと思う。

    これも早い段階で答え出てるんですよね。10巻の「売れるための絶対の方法がある。それは売れるまで絶対にやめないこと」(ただし売れるとは言ってない)。これはお笑い芸人だけでなく何にでも通じているでしょう。

    改めて見返すと、『べしゃり暮らし』ってどう見ても天才&天然で突っ走る圭右じゃなくて何度も壁にぶつかって悩んで答えを見出し突破する辻本が主人公だったよな。

    しかし、改めて『べしゃり暮らし』の構成の上手さは舌を巻く。
    1話冒頭のシーンを覚えているだろうか。

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    1話1ページ目

    漫才師2人が「ひとみちゃん」ネタで会場の爆笑を誘っているシーン。実は『べしゃり暮らし』はここに到達するために用意周到に描かれた作品であった。最終巻のカバー折りで森田先生は以下のようにコメント。
    連載漫画は、全体の流れよりも。その週その週の面白さの方を優先させるべきで、多少の矛盾には目をつぶり、作者自信もこの先どうなるんだろうと、あまりはっきり先が見えないほうがいいというのが、これまでの僕の作品作りのスタンスでした。でも、この作品においては、ものすごく綿密にキャラ設定をしたり、エピソード等があとづけにならないように、年表を作ったりして気を配り、おおまかではありますが、最初から最後までの流れも決め、ラストのコマも決めて連載に臨みました

    これがまったくその通りなのだから恐れ入ります。
    1話冒頭の2人の芸人の「ひとみちゃん」ネタ。それがラストに繋がるんだからブルっと震えるってもの。「いやー思い出すな、高3の秋に俺ひとみちゃんに告られたんだよ」と始まったネタですが、実際に高校時代に沢尻ひとみちゃんに告白され付き合ったり、勘のいい読者なら気付いた事でしょう。冒頭の2人はべしゃりの2人だって。辻本の母親もひとみですし。おすし。

    あれ?でもそうすると、ボケと突っ込みが逆じゃね?そこが圭右の記憶喪失を使って本当にボケと突っ込みを本当に入れ替えてしまうってんだからね。そうか、記憶喪失も最初から計算してたのか。ラストの漫才は鳥肌ものだよ!

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    1話の冒頭と同じネタ

    即興でアドリブで1話冒頭のシーンと同じネタに繋がった
    漫才後に「このくだり今度は台本に入れて行くぞ」と、即興のネタが「べしゃり暮らし」の持ちネタになる事が伺える。1話1ページ目のあの漫才は、2人のこれから先の未来の姿だったのであろう。連載開始前から決めてたというラストのコマ。未来へ向かっていた。まる。

    べしゃり暮らし 19 (ヤングジャンプコミックス) べしゃり暮らし(19)
    [まとめ買い] べしゃり暮らし

    お笑いの頂点・NMCの準決勝に残ったべしゃり暮らし。圭右の記憶喪失はコンビ最大の武器・アドリブを奪うが、辻本はそんな圭右のために新ネタを書き上げる。コンビの絆を強くするが、二人に更なる緊急事態が…!? 魂を揺さぶる感動の最終巻!!
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  • 『僕だけがいない街』、あの日見たフラグの名前を僕達はまだ知らない

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    僕だけがいない街 (6) (カドカワコミックス・エース)

    過去と現在が連動する超感覚サスペンス『僕だけがいない街』。読めば読むほど「ドキドキする謎解き」や「ジリジリする焦燥感」といったサスペンスの醍醐味を味わえる。単行本でしか読んでないんだけど、コミック1巻ごとに必ず「えーっ!?」って衝撃がある。いままでちょいちょい紹介したけど、6巻はさらに輪をかけて面白い。
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    この手の漫画って犯人と真相が分かると失速すると思ってたんだけど、そんな事はない!むしろ6巻読んで確信したね。ここからが本番じゃないか、と。今までの伏線など猛烈に回収し真相が明らかになった。けど、震えるぐらい面白い!(以下ネタバレ含む)

    真犯人が判明するも車ごと川に沈められ悟は植物人間となり15年後に目覚める…というもの。しかも、記憶が飛んで真犯人や事件や自分がリバイバル出来る事を忘れてしまう。読者視点では事件解決まであとちょっと思うも、主人公の悟にとってはまだまだこれからって感じでしょうか。

    6巻で個人的に一番衝撃だったのは街である。

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    船橋じゃねーか!
    私は昔船橋に住んでたので読んでて「ファッ!?」となったもの。すごく見覚えありますこの景色。なんの偶然か、最初のオリジナルの時間軸で、悟が漫画家を目指して北海道から上京してピザ屋でバイトしながら住んでた場所と、今回の長期療養可能な病院として移った場所が同じというね。千葉県船橋市である

    アニメ化も決定してるので、せっかくなので舞台訪問したいところですね。しかし、2006年と今じゃ京成船橋&周辺の外観が変わってしまっているんだけど。どーすんだろ(どうでもいい)。最初の時間軸と、現在の時間軸で偶然なのか必然なのか千葉県船橋市に舞台は移る!

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    上野には電車一本で行ける

    「悟、上野って電車一本で行ける?」「行けねぇやっぱ観光かよ」(2話、2006年5月)、「ホントはさ上野には電車一本で行けるんだ…」(19話、1988年2月)…という悟の母・佐知子にとっては意味不明すぎた上野まで電車一本で行けるかどうか。それが6巻の時間軸で、偶然なのか必然なのか運命なのか、同じ街・船橋で体験する。京成船橋から京成上野まで電車一本!

    そして、千葉県船橋市にはヤツがいる!
    読者的に犯人まで後一歩まできたのは、リバイバルした子供時代だけでなく、2006年でもあった。コミック3巻で悟が推理したように真っ黒くろすけな男がいた。

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    西園先生

    市議の西園先生である
    15話でピザ屋を訪れ店長と信号の設置について会話しているところを、ピザ屋に来てたアイリと鉢合わせ。その後の放火…と、どうっからどう見ても真っ黒な男であった。お前が犯人だろう、と。17話「僅かな手がかり」の悟の推理通りでしょう。

    んで、市議の西園先生はしばしば2006年の背景で描かれる「西園まなぶ事務所」の看板の人でしょうな。

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    西園まなぶ事務所

    そして犯人は判明した。八代学(ガク)である。
    リアル船橋の市議会選挙結果とか見ると、本名でなく通称で選挙出てる人多すぎー!まあひらがななどを使って分かりやすく親しみやすい為でしょうけど。つまり、御子原学は両親の離婚で八代学になり、2006年では婿入り(?)でもしてまたまた苗字が変わったのであろう。北海道から流れてきて、2006年は本名が西園学(ガク)で議員通称として西園まなぶで市議となっている可能性が高い。

    しかし、6巻の面白かったところは今までの伏線や真相が解明されたことはもちろんですけど、八代学視点で描かれた回想、32話「蜘蛛の糸 1971.10~1987.04」だな。八代学の心理状況が分かりそうで、読めば読むほどよく分からなかった。

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    八代の過去

    「だが僕は気付いていた。…兄が僕の中に居る事に。」…つまりロリコンってことですね!分かります。八代兄は女児へ性的イタズラをする鬼畜で、八代も手伝わされていた。暴力を振るう兄を「心に空いた穴を埋める為の代償行為」、「何て事してくれたんだ」と兄から殺害の罪をなすりつけられそうになる…。確かに八代の言動は中に兄がいるような感じ。でも、「兄の言いなりになっている自分」には納得がいってないと述べているのも気になる。

    八代学は犯行の動機を「心の空白を埋める」(31話)と言ってるけど、お前の心の空白はなんなんだ、と。犯行動機が本当に分からない。それでいて、読んでてゾクゾクさせられたのは「クモの糸」と「ハムスター」でしょう。八代の目にビビったね。元から作中で「真犯人の目」としてピックアップされてたけど、6巻の過去回想の八代に目は凄い

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    上、ハムスターに目を奪われる /下、自分の頭上に目を奪われる

    クモの糸と一匹だけ生き残ったハムスター。短編小説「蜘蛛の糸」が好きで、カンダタの足元でクモの糸が切れていたら?その時釈迦はどうしていただろう?と考える少年であった。

    果実酒に落としたハムスターで一匹だけ生き延びたハムスターに目を奪われる。その時と同じ目で、自分の頭上のクモの糸を見て笑う。ゾクゾクしたね。八代は兄や婚約者の頭上にもクモの糸が見えて、それらを犠牲にし蹴落とし生き延びている自分をハムスター(スパイス)を重ね笑ったように見える。地獄に堕ちず登りきるカンダタである。あるいは、その答えを求めてるのかもしれんな(違うかもしんねーけど)。

    事件の真相も犯人も分かったのにめったくそ面白い、まだまだ加速するのが素晴らしい。コミック派なので先が楽しみで楽しみで仕方がない。はやく7巻読ませろろとはやくも飢餓状態。

    ただ一点だけショックだったのは雛月加代である。
    頭がラブコメ脳なのでさ、リバイバルした小学生時代の悟と加代のやり取りで、もう脳内で将来結婚するようなカップリングが出来上がっていたんですよ。

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    加代

    なんか結婚して子供までいんの。すっげぇショック受けたのおれだけかな。悟と加代の小学生時代のニヤニヤしまくった小っ恥ずかしくなるようなアレやコレは絶対にフラグだと思ってたのに!

    ショックで泣きそうだよ。フラグじゃなかったのかよ。なんだったんよあのクソ甘い2人のやり取りは!夢見させるような事やるなよ!幻滅しました。これからはアイリをペロペロします

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    八代の車に同乗した悟が見たもの…それはあの「眼」だった?車内で交わされる八代との会話。信じたい?信じられない?不安な気持ちに心がざわつく…。果たして、悟の運命は!?物語が大きく転換する第6巻!!