うさぎドロップ 8 (Feelコミックス)
宇仁田 ゆみ
祥伝社 (2010-10-08)

なんというか、はじまったな!ぶっちゃけ最近の「うさぎドロップ」の展開は面白かったのですが、いまいちノレてなかった自分がいたりしました。というのも、「うさぎドロップ」は大吉の子育て奮闘記として楽しんでいたので、りんが成長した第二部からは、りんの恋愛関係など楽しんではいたのですが、どうもノレていないという…。

だがしかし、はじまった!りんの恋愛模様が一気に動き出したのです。りんの実母も評価を上げて見所満載。でも何といってもキモはりんの心の変化というかラブでコメるエピソードですよ!

まず、第二部がスタートして、個人的にカップリングがあるとしたら、大吉と二谷さん(コウキの母親)と、りんとコウキというカップリングが想像できました。だって、第二部がスタートしたばかりの頃は明らかにフラグが立っていたじゃないですか!

コウキとの関係を兄妹みたいなものと言いつつも「兄妹いないからよく分かんないけどね」と微妙な表情をしながら発言したり、中学時代の淡いキス体験とか、ギャルゲなら間違いなく結ばれるフラグが成立していました。

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りんとコウキのフラグ

コウキが他の人と付き合ってガッカリしたとか、ただのやきもちなのかと言っていたりん。一緒に手を繋いで赤面させるなど、りんとコウキのフラグは揺ぎ無いものだと思っていました。

そしてダイキチと二谷さん。40歳と42歳といういい感じで中年になってアダルティな臭いを醸す1人。この2人も、どう見てもフラグが立っており、ダイキチが男を見せて二谷さんが赤面する表情は、ニヤニヤしまくって部屋中をゴロゴロ転がる程の悶絶を打ってしまったものです。

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ダイキチが男を見せた

二谷さんの恋する乙女な表情に胸キュンするのは必然です。中年同士のラブでコメり出す展開に、ここまでニヤニヤさせられれば完敗ですよ!なんというか「島耕作」シリーズのせいで、中年の恋愛はもっと淡泊なものと思っていたのに、中学生のようなラブでコメる展開を繰り広げた中年2人に胸熱というもの!

しかし、しかしです。ダイキチのアホ自らフラグをへし折ってしまいました。抱きついてフラグを立てて攻略に向けて一直線に進むだけなのにも関わらず、「今の一旦…"保留"ってのはダメですか?」と言い出して、自ら立てたフラグで二谷さんルートに突入するだけなのに、ここでバキッとグラグをへし折ってしまったのです。フラグをへし折られた二谷さんは「一瞬…夢見そうになったじゃない!!」と心情を吐露して、「大吉さんの…ばかっ…」と1人泣いていたのです。

ダイキチ何やってんの!

こうして自ら二谷さんとのフラグをへし折ってしまったダイキチ。そして、8巻ではコウキの母親が再婚するという展開になってしまったのです。フラグをへし折ったダイキチに渇を入れたいところですが、物語はコウキの母親の再婚で一気に動き出してしまうのです。父親気分で読んでいた読者は、脳天にとんでもない衝撃を受けてしまったことでしょう。

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とんでもない衝撃

コウキの母親が再婚すると聞いたダイキチが落ち込んでいるのを見て、その事を嫉妬している自分に驚き、自分の気持ちに気付いてしまったのです。

「ヘコんでるダイキチってなんか…なんか…」
「わたし…ダイキチのこと…」
「ああ…やっぱり…コウキのお母さんの事好きだったんだろうな…」
「やばい…どうしよ…」
「わたし…コウキのお母さんにも嫉妬してるし…」

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りんは恋してる

りんはダイキチが好きである。それも男として好きなのです!
まさかのラブがコメる展開に発展ですよ。「保護者→恋愛」というのは、個人的には大好物であります。例えば、エロゲなんですが「世界でいちばんNGな恋」。


「世界でいちばんNGな恋」はトコを保護者として見守っていたものの、そこから恋愛関係に発展する様子が詳細に書かれており、個人的に歴代エロゲのベスト10に入る傑作でした。特にダメ恋のキャッチフレーズだった「僕らは何も間違ったことなんかしてない。ただ、いけないことをしているだけだ」は私の座右の銘です。漫画ですとあだち充先生の「じんべえ(AA)」も素晴らしいものでした。義理の親娘の恋愛はマーベラスであるとここの宣言したいものです。

しかしです。私が好きな義理の親子での「保護者→恋愛」というものは、あくまで論理的に問題がない場合です。世間的には問題ありそうですけね。

悲しいかな。「うさぎドロップ」のダイキチとリンの関係はちょっとヤバイです。論理的にも世間的にもヤバイです。血縁的には、りんはダイキチの祖父の娘であり叔母に当たってしまうのです。思いっきり三親等に入ってしまっています。つまり、りんがダイキチを好きだからといって、安易に結ばれればダウトなのです!

確かに、ダイキチを男として意識してからのりんの赤面する表情は可愛い。まさに、今時の恋する女子高生です。りんがダイキチを意識して赤面する姿に、何度ニヤニヤした事か…。

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赤面するりんの可愛さはヤバイ

りんが恋して顔を赤くしている表情は素晴らしい…。それだけに哀愁漂うというもの。りんとダイキチは三親等以内の血縁関係であり、これは絶対に結ばれない恋なのです。愛しさと切なさと心強さですよ

恋する乙女モードのりんの可愛さにニヤニヤしてしまうものの、胸に引っ掛かる切なさがヤバイ。結ばれぬ恋を突き進むのか…。恐らく、ダイキチを諦める過程においてのりんの成長が描かれると思いますが、何にしても悲しいものです。りんが可愛い表情をすればするほど、残酷な結果が見えてしまっている切なさ。それでも胸がときめいてしまう…なんとも言えない感情になります。

第二部でおとなしいかなという印象だった「うさぎドロップ」ですが、ここに来て一気に物語が動き出しました。果たして2人の関係はどうなってしまうのか…。決して結ばれない恋だと思いますので、りんがダイキチを諦めるエピソードで、りんの成長を描くのか。りんが可愛く赤面すればするほど、ちょっと切なくなります。何にしても続きが非常に楽しみです。

うさぎドロップ (1) (FC (380))
宇仁田 ゆみ
祥伝社


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