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「はじめの一歩」キャラの使い捨てが半端ない件
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2010年10月23日

「フォーチュンアテリアル 赤い約束 Blu-ray 第1巻(AA)」の予約が開始されました。2010年12月24日発売予定です。
さて、私はジャンプ、マガジン、サンデー、チャンピオンといった週刊少年誌を毎週購読してる少年の心を忘れない純粋なもうすぐ三十路なんですが、マガジンを購読するようになったきっかけを思い返すと「はじめの一歩」と「コータローまかりとおる!」と「BOYS BE…」なんですよね。そして今だに「はじめの一歩」が連載していて早く完結しろよと思うのです。一歩VS宮田を引っ張って十数年。
ところで「はじめの一歩」最高の名試合って何でしょうか。一歩VS間柴、一歩VS千堂、一歩VSヴォルグ、一歩VS伊達、一歩VS千堂2、一歩VS真田、一歩VS島袋、一歩VS沢村、一歩VSジミー、宮田VS間柴、千堂VSヴォルグ、宮田VSジミー、鷹村VSホーク、木村VS間柴、伊達VSリカルド、間柴VS沢村…上げればキリがない名試合の数々。どれも派手な試合で心が躍ったものです。
しかし、ここであえて地味に試合をした青木VS今江こそ個人的には「はじめの一歩」でNO1の名試合であったと主張したい。「はじめの一歩」は残酷なまでに才能のある物と無いものをくっきりと分けて描写されます。以前、森川ジョージ先生は青木と木村の漫才コンビのダメっぷりを以下のように答えていました。
青木と木村は偶然できちゃったキャラなんですが、この二人が一番我々に近いキャラだと思うんですよ。もし一般人がボクシングをやったらどうなるか…という意味で。だから"何があれば勝てる"じゃなくて、どうしても"足りない"わけなんです。ボクシングってすごく残酷で、才能がないと必ず勝てなくなるんですよ、上へ行けば行く程。才能とはパンチやスピード、気の強さだったりしますけど、そういったものが足らない人達が一生懸命やってどこまでいけるのか、それをあいつらにやって欲しいですね。ちなみに彼らの最後も既に考えているんですけど
「はじめの一歩」は徹底的に才能がある奴とない奴で区別されて描かれており、悲しい事に青木は才能がない凡人側の人間でした。勝ったり負けたりを繰り返し、敗戦の度にそれを肥やしに研究を重ねた凡人。青木が才能ある日本王者への挑戦…と思いきや、日本ライト級王者今江もまた凡人だったのです。

ライト級王者今江
「試合も盛り上がりはしない。あっさり完封してみせる!」
判定上等の玄人好みのつまらないファイトスタイルと言われる今江。基本に忠実で教科書通りの戦い方と揶揄されていました。「はじめの一歩」の世界のネットでは塩王者とか塩試合量産器とかバカにされてる事でしょう。
凡人で勝ったり負けたりを繰り返し勝つ術を見出した者同士。青木は負ける度に研究を重ねダブルパンチ、コークスクリュー、カエルパンチ…と奇抜な発想で勝ち術を見つけた研究家。今江は負けた悔しさで全てを絶ち死ぬほど努力を重ねた末に王者になった努力家。
負けを肥やしに這い上がって来た両者。日本ライト級王者戦は「はじめの一歩」史上初の才能無き凡人同士の頂上決戦だったのです。

凡人VS凡人の頂上決戦
叩き上げ同士のタイトルマッチ!
強者へ立ち向かう試合、強者と強者の派手な試合…というものが「はじめの一歩」のオーソドックスな試合でした。しかし、青木VS今江は今までにない独特の雰囲気。一発逆転のパンチもなければ、華麗なテクニックもない。あるのは才能がないながらも勝つ術を見つけ這い上がって来た者同士の主導権や腹の探り合いや戦略の応酬。
正統VS変則。努力家VS研究家。才能の持たない者が持つ者にどうすれば勝てるのかと自問自答し、挫折を繰り返し勝つ術を磨き上げて来た2人。1Rは綺麗なボクシングをする今江を青木が奇妙な動きで引っかき回し両者互角の立ちあがり。しかし、青木の必殺カエルパンチを何千回という練習通りに叩き潰す今江。

カエルパンチは通用しない
世界一青木を研究した今江が努力と対策をきっちりして体が勝手に動いてカエルを叩きつぶしました。食らった青木はダメージ有り。練習は間違っていなかった!今江が徹底的に青木を攻め立てます。序盤は今江が完全に試合を支配しました。
しかし、青木は信じられない事に途中から死んだふりをして今江を誘いこんでスタミナを消費させていました。5Rからは青木のターン、スタミナを消費させた今江をアウトボクシング、新技、カエルと駆使してボッコボコに。

青木の反撃
序盤は今江、中盤は青木が試合を支配。精神も肉体も青木はボロボロでしたが、今江は心が折れる寸前。6年間勝ったり負けたりを繰り返して辿り着いたタイトルマッチ。ベルトは目の前でした。
「いいよな、華麗なフットワークを使えるボクサーは。鳥みてえにパンチの当たらない所まで飛んでいける。こいつ(カエル)もオレみてえだ。飛びたくても飛べねぇ…」
「オレには鷹村さんみたいな野生も、一歩みたいな爆発力も無い」
「ボクシングっつう殴りの専門家の中に放り込まれて生き残る為に蛙にだって知恵もつく。生き残る為の6年間分の知恵―」

ベルトは目の前
「鳥みたいに飛べやしない―だけど、もがいてあがいて飛び跳ね続けて…見ろよ!もうすぐ手が届く、ベルトは目の前だ!」
青木と今江、真面目と不真面目でありながら根底はまったく同じ。どちらも悲しい程の才能がありません。そして、どちらもブス線。手放した勝利の女神、心が折れかけた王者を救ったのは捨てたはずの勝利の女神。今江もまたもがいてあがいてのし上がってきた男。

這い上がって来た今江
「ジムの門を叩いた時は、お世辞にも才能は見当たらなかった。しかし人一倍ボクシングにのめり込んで、他人の何倍もの練習を積み、それを糧に這い上がって来た。努力に努力を重ね、体力と自信をつけた。それこそが今江の武器だ」
凡人同士の頂上決戦は、序盤は今江、中盤は青木がリード。そして終盤は両者共に戦略も体力も精神力も出し切り、残された余力0の泥仕合になるのでした。

終盤は泥仕合
そして両者全てを出しつくし10R終了。決着は判定に委ねられ、95-94、94-95、94-94でドロー。決着は付かず引き分け。今江は引き分けでベルトを防衛し、青木はベルトに半歩届きませんでした。敗者無き死闘は引き分けで幕を閉じました。
青木を最強の挑戦者と認め、最後にはピエロと称した青木を尊敬していた今江。「ありがとうございました」と頭を下げた王者・今江と叩きのめしてくれれば諦めもついたと悔しがった青木。両者は再戦して決着をつける…そんな風に考えていた時期が俺にもありました。
今週の「はじめの一歩」。今江が、まさかの11年ぶりの再登場をしました。

今江11年ぶりの再登場
「ライト級元日本王者今江克孝」
なんで王者がA級トーナメント出てるんだと思いましたが「元」って何やねん。そのまま青木が今江の近状を説明。
「オレとの死闘でダメージが溜まっていたんだろう。あの後負けちまって―しかしランク上位に留まり続け虎視眈々と王座返り咲きを狙っている」
(゚Д゚)…今江いつの間にか王座陥落しとる…
単行本でいえば49巻~51巻も使って描かれた青木と今江。長々と死闘しといて、今江の王座陥落を1コマでサラッと流してしまいました。どうなってんだってばよ…。
でも、まぁ世界を取る器とか称されて小橋に失神された速水より扱いはマシかなぁ…。そんなわけで、板垣だけでなく青木も今江との再戦がありそうでA級トーナメントが俄然と面白くなってき…え。

11年ぶりの再登場しといて
…今江1コマで沈む。
ポッと出の新キャラに1コマで沈められてカマセ犬になっていました。これは酷い。速水ですら、カマセになって散る際に少しは見せ場を作ったのに、11年ぶりに出てきたら1コマでKOされるとか。ジョージ先生のキャラに使い捨てっぷりは本当に半端ないな。