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「鋼の錬金術師」ブラッドレイ大総統の笑顔は胸が熱くなるな
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2010年04月29日
野村宗弘先生の「ものものじま」1巻と「とろける鉄工所」4巻が同時に発売されて、本屋の片隅にノムフェス開催と謳われていました。
親の仕事を受け受け継いで代々暮らす島で、唯一ものを作らない小間使い屋の話の「ものものじま」と、世界唯一の溶接を題材にした「とろける鉄工所」。キモは暮らしというか生活です。個人的に、北さん夫婦の団らんに和むのです。
北さん夫婦
3巻で若き日の北さん&奥さんを見てから、この2人が好きすぎて困る。4巻は小島家もほのぼのと眺めて癒されてしまいます。個人的にですが、溶接の仕事よりもそこで働く人の家族話が一番好きです。
さて、「鋼の錬金術師」の25巻が発売されました。物語も最終局面を迎えているようで、物凄い盛り上がりです。いきなりバッカニア大尉に震えるのです。
で、個人的に最も胸が熱くなったのは、キング・ブラッドレイなのです。これほどまでに私の心に残る悪役はいませんでした。存在感が半端ないです。25巻はどう考えてもブラッドレイがかっこ良すぎるのです。
作中でも最強候補というぐらい圧倒的な強さを誇っていましたが、フーとバッカニアが命を駆けて作った隙をついて、グリードの最強の目である左目が潰されて、ホムンクルス特有の再生能力がなくなってしまいました。ボロボロの体のまま、ロイたちの前に現れ、ロイが人体練成に走らなかった事を知り、笑ってみせたのです。
※もともと再生能力などないという指摘を沢山頂きました。そういえば傷を追ったことすらなかったですね。
ブラッドレイ
「まったく人間というやつは…、思い通りにならなくて腹が立つ」
ホムンクルス側にとってはお父様の計画の為に、ロイには人体練成をしてもらって何が何でも人柱として使いたいのに、ここで笑顔です。計画通りに物事が進まないのにも関わらず、笑ってみせるブラッドレイに胸が熱くなるのです。
そう、ブラッドレイは何時も不敵に笑っていますが、計画通りというか思い通りにならない時こそ本気で笑うのがポイントなのです。エルリック兄弟やロイが何か仕出かす度に、ニヤリと笑って見せたのが興味深かったのです。さらに、ランファンが左腕を失った時にも、犬に左腕を括りつけて囮にして、ブラッドレイが出し抜かたら「…見事なり!」と笑っていたのです。出し抜かれて笑うとは…。
ブラッドレイは計画通りというか自分の思い通りにならない時は、やられたと悔しがらずにどういうわけか笑ってしまうのです。マスタングに出し抜かれれば、やはり笑顔を見せていました。
笑顔の大総統
「やってくれたな若僧…」
心情では悔しがっているはずなのに、顔がどういうわけか笑顔でニヤリと笑っているのがブラッドレイを語る上で最も重要なことです。何が嬉しいのでしょうか…。
もちろんブラッドレイは容赦や手加減はせずに、この後はロイへの圧力を高めてロイの部下達を地方に飛ばし、リザを自分の手元へ置くなど、徹底的に計画の為に動きます。ブラッドレイは徹底的なリアリストで本気で相手を潰すのに、それでも逆らってくる相手に、悔しがるでも怒るでもなく笑顔を見せてしまうのです。
それでも、計画通りに動かない敵として登場するエルリック兄弟やロイに対しては何か思う事があるようで、プライドとの会話では思わず本音が出てしまっていました。
少し…楽しい
スカーを殺し損ねた時、最近は振り回されてばかりではないかと言われれば笑顔で「少し…楽しい」と言ってのけたのです。予定外の事が立て続けに起きたからこそ楽しいと言うブラッドレイ大総統。さらに、ブラッドレイの台詞は胸を熱くさせます。
「生まれて直ぐにキング・ブラッドレイのレールの上に乗せられ、こうして今、父上の予定通りにこの国のトップに座っている。邪魔する者はいなかった…。否、父上が排除した。予定通りの台本を用意され私はそのまま生きて来たのだ」
数少ないブラッドレイの本音です。生まれて直ぐに、ブラッドレイとしてレールの上に乗せられて何の障害もないまま生きてきた事に退屈だったのかもしれません。ここに来て、エルリック兄弟とマスタング大佐とスカーという邪魔者が出てきて、心底楽しそうなのが印象的です。ブラッドレイは賢者の石に選ばれた時に、人生は全て決められていたのです。
キング・ブラッドレイ
周りからは「後の事は、あのお方に任せておけば良い」、「経歴も財産も家族も友達もなんでも用意してくれるだろう!」と言われ、キングブラッド・レイという名前を付けられ、後は用意されたレールの上を歩くだけ。
その後も、マスタングが飼い犬になっても負け犬にはならないと言いだせば、やはり笑って頷くブラッドレイが忘れられません。邪魔な敵に対して笑う男。作られたレールに不満があったかどうかは分かりませんが、満足はしていなかったのでしょうか。
その後も、ピンチや計画を狂わされれば笑うブラッドレイ。リザに全て「ごっこ」だと言い放ったのは興味深いです。
ごっこ
「大総統の座も部下も力も全て与えられた。いわば権力者ごっこだ」
大総統という地位はごっこだと言い放つブラッドレイ。こいつは、ただの駒として手加減抜きで全力で動いているくせにどこか満足していないのです。
で、25巻で左目も失い再生能力もない状態でスカーと向かい合えば、名前を聞いたかと思えばスカーは名前を捨てたと言い、ブラッドレイは「私も己の本当の名を知らん」と、名無し同士で殺し合うのも面白かろうと最後の闘いに突入するのです。
スカーの本当の名前も気になるところですが、ブラッドレイが自身をブラッドレイと名乗らなかった事に胸が熱くなります。作中で唯一ブラッドレイの視点で語られた53話「魂の道標」ではブラッドレイは●●●●●と呼ばれていました。ようは名無しです。彼の回想は以下のようなもの。
もう自分の名前を本当に覚えてないブラッドレイ。だからこそ、スカーとの最後の一騎打ちでブラッドレイと名乗らず、自分の名前を覚えていないと言い放ったのは胸が熱くなるのです。レールの上のブラッドレイとしてではなく、一個人として名乗らなかったのです。
そういえば以前はブラッドレイは自分の事を分からないと語っていました。
分からない
「ここに残るそのたったひとつの魂が、賢者の石にされた誰かのものなのか、元々の己のものなのかはもう…わからんのだ」
もう自分の事は何も分からない男ブラッドレイ。ただただ決められたレールの上を歩くだけの人生。最後の最後で、エルリック兄弟やロイやスカーやシンの国の者たちが障害となって立ちはだかり、計画通りにいかなくなった事が楽しいと言い放ち笑っていた男。最後の相手はスカー。その時の台詞があまりに名言なのです。
ああ…やっと辿りついた…
「こうして死に直面するというのはいいものだな。純粋に『死ぬまで闘い抜いてやろう』という気持ちしか湧いてこん。地位も経歴も出自も人種も性別も名も何も要らん。何にも縛られず、誰のためでもなくただ戦う。それが心地良い。ああ…やっと辿りついた…」
胸が熱くなったんだ…。なんという名言が飛び出したのか。ただレールの上を全てを与えられ決められた人生を歩いて来た男が最後に導きだした答えは何もいらないです。レールの上の決められた人生ではなく、ただ自分の為にです。
この時の103話のタイトル「誰のため」というタイトルを見ると胸が熱くなるな。ブラッドレイ大総統はここからさらに熱いのに25巻に収録されてなくて絶望した!
そういえば4年ほど前に、荒川先生は久米田先生と対談しており、ラストについて以下のようにコメントしていました。
凄い。この壮大な話の着地点を最初から決めていたなんて。行き当たりばったりな作品が多い中で、ここまで計算している漫画家さんは中々いないんじゃないでしょうか。以前「バクマン。」で計算されて描かれた漫画はヒットは多いけど、大ヒットは漫画家が描きたいものを描いた作品とか言ってましたが、ご存知「鋼の錬金術師」は大ヒット漫画です。これは純粋に凄いですよ。
そういえば、久米田先生が描いた「鋼の錬金術師」は味わい深くて、個人的にツボにはまってしまい大好きです。
久米田先生が描いた鋼錬
何にしても、もうすぐ終わりそうで、ここにきて再び盛り上がりを見せる「鋼の錬金術師」はマーベラスです。そうそう、久米田先生と荒川先生の対談といえば、久米田先生も「鋼の錬金術師」をベタ褒めしていたのが興味深いです。
胸が熱くなったんだ…。
親の仕事を受け受け継いで代々暮らす島で、唯一ものを作らない小間使い屋の話の「ものものじま」と、世界唯一の溶接を題材にした「とろける鉄工所」。キモは暮らしというか生活です。個人的に、北さん夫婦の団らんに和むのです。
北さん夫婦
3巻で若き日の北さん&奥さんを見てから、この2人が好きすぎて困る。4巻は小島家もほのぼのと眺めて癒されてしまいます。個人的にですが、溶接の仕事よりもそこで働く人の家族話が一番好きです。
さて、「鋼の錬金術師」の25巻が発売されました。物語も最終局面を迎えているようで、物凄い盛り上がりです。いきなりバッカニア大尉に震えるのです。
で、個人的に最も胸が熱くなったのは、キング・ブラッドレイなのです。これほどまでに私の心に残る悪役はいませんでした。存在感が半端ないです。25巻はどう考えてもブラッドレイがかっこ良すぎるのです。
作中でも最強候補というぐらい圧倒的な強さを誇っていましたが、フーとバッカニアが命を駆けて作った隙をついて、グリードの最強の目である左目が潰されて、ホムンクルス特有の再生能力がなくなってしまいました。ボロボロの体のまま、ロイたちの前に現れ、ロイが人体練成に走らなかった事を知り、笑ってみせたのです。
※もともと再生能力などないという指摘を沢山頂きました。そういえば傷を追ったことすらなかったですね。
ブラッドレイ
「まったく人間というやつは…、思い通りにならなくて腹が立つ」
ホムンクルス側にとってはお父様の計画の為に、ロイには人体練成をしてもらって何が何でも人柱として使いたいのに、ここで笑顔です。計画通りに物事が進まないのにも関わらず、笑ってみせるブラッドレイに胸が熱くなるのです。
そう、ブラッドレイは何時も不敵に笑っていますが、計画通りというか思い通りにならない時こそ本気で笑うのがポイントなのです。エルリック兄弟やロイが何か仕出かす度に、ニヤリと笑って見せたのが興味深かったのです。さらに、ランファンが左腕を失った時にも、犬に左腕を括りつけて囮にして、ブラッドレイが出し抜かたら「…見事なり!」と笑っていたのです。出し抜かれて笑うとは…。
ブラッドレイは計画通りというか自分の思い通りにならない時は、やられたと悔しがらずにどういうわけか笑ってしまうのです。マスタングに出し抜かれれば、やはり笑顔を見せていました。
笑顔の大総統
「やってくれたな若僧…」
心情では悔しがっているはずなのに、顔がどういうわけか笑顔でニヤリと笑っているのがブラッドレイを語る上で最も重要なことです。何が嬉しいのでしょうか…。
もちろんブラッドレイは容赦や手加減はせずに、この後はロイへの圧力を高めてロイの部下達を地方に飛ばし、リザを自分の手元へ置くなど、徹底的に計画の為に動きます。ブラッドレイは徹底的なリアリストで本気で相手を潰すのに、それでも逆らってくる相手に、悔しがるでも怒るでもなく笑顔を見せてしまうのです。
それでも、計画通りに動かない敵として登場するエルリック兄弟やロイに対しては何か思う事があるようで、プライドとの会話では思わず本音が出てしまっていました。
少し…楽しい
スカーを殺し損ねた時、最近は振り回されてばかりではないかと言われれば笑顔で「少し…楽しい」と言ってのけたのです。予定外の事が立て続けに起きたからこそ楽しいと言うブラッドレイ大総統。さらに、ブラッドレイの台詞は胸を熱くさせます。
「生まれて直ぐにキング・ブラッドレイのレールの上に乗せられ、こうして今、父上の予定通りにこの国のトップに座っている。邪魔する者はいなかった…。否、父上が排除した。予定通りの台本を用意され私はそのまま生きて来たのだ」
数少ないブラッドレイの本音です。生まれて直ぐに、ブラッドレイとしてレールの上に乗せられて何の障害もないまま生きてきた事に退屈だったのかもしれません。ここに来て、エルリック兄弟とマスタング大佐とスカーという邪魔者が出てきて、心底楽しそうなのが印象的です。ブラッドレイは賢者の石に選ばれた時に、人生は全て決められていたのです。
キング・ブラッドレイ
周りからは「後の事は、あのお方に任せておけば良い」、「経歴も財産も家族も友達もなんでも用意してくれるだろう!」と言われ、キングブラッド・レイという名前を付けられ、後は用意されたレールの上を歩くだけ。
その後も、マスタングが飼い犬になっても負け犬にはならないと言いだせば、やはり笑って頷くブラッドレイが忘れられません。邪魔な敵に対して笑う男。作られたレールに不満があったかどうかは分かりませんが、満足はしていなかったのでしょうか。
その後も、ピンチや計画を狂わされれば笑うブラッドレイ。リザに全て「ごっこ」だと言い放ったのは興味深いです。
ごっこ
「大総統の座も部下も力も全て与えられた。いわば権力者ごっこだ」
大総統という地位はごっこだと言い放つブラッドレイ。こいつは、ただの駒として手加減抜きで全力で動いているくせにどこか満足していないのです。
で、25巻で左目も失い再生能力もない状態でスカーと向かい合えば、名前を聞いたかと思えばスカーは名前を捨てたと言い、ブラッドレイは「私も己の本当の名を知らん」と、名無し同士で殺し合うのも面白かろうと最後の闘いに突入するのです。
スカーの本当の名前も気になるところですが、ブラッドレイが自身をブラッドレイと名乗らなかった事に胸が熱くなります。作中で唯一ブラッドレイの視点で語られた53話「魂の道標」ではブラッドレイは●●●●●と呼ばれていました。ようは名無しです。彼の回想は以下のようなもの。
本当の親の名も名前も顔も…自身の名すら覚えてない いや…名を付けられる前に捨てられたか買われたか… |
もう自分の名前を本当に覚えてないブラッドレイ。だからこそ、スカーとの最後の一騎打ちでブラッドレイと名乗らず、自分の名前を覚えていないと言い放ったのは胸が熱くなるのです。レールの上のブラッドレイとしてではなく、一個人として名乗らなかったのです。
そういえば以前はブラッドレイは自分の事を分からないと語っていました。
分からない
「ここに残るそのたったひとつの魂が、賢者の石にされた誰かのものなのか、元々の己のものなのかはもう…わからんのだ」
もう自分の事は何も分からない男ブラッドレイ。ただただ決められたレールの上を歩くだけの人生。最後の最後で、エルリック兄弟やロイやスカーやシンの国の者たちが障害となって立ちはだかり、計画通りにいかなくなった事が楽しいと言い放ち笑っていた男。最後の相手はスカー。その時の台詞があまりに名言なのです。
ああ…やっと辿りついた…
「こうして死に直面するというのはいいものだな。純粋に『死ぬまで闘い抜いてやろう』という気持ちしか湧いてこん。地位も経歴も出自も人種も性別も名も何も要らん。何にも縛られず、誰のためでもなくただ戦う。それが心地良い。ああ…やっと辿りついた…」
胸が熱くなったんだ…。なんという名言が飛び出したのか。ただレールの上を全てを与えられ決められた人生を歩いて来た男が最後に導きだした答えは何もいらないです。レールの上の決められた人生ではなく、ただ自分の為にです。
この時の103話のタイトル「誰のため」というタイトルを見ると胸が熱くなるな。ブラッドレイ大総統はここからさらに熱いのに25巻に収録されてなくて絶望した!
そういえば4年ほど前に、荒川先生は久米田先生と対談しており、ラストについて以下のようにコメントしていました。
―荒川さんの「鋼」は長編ストーリー漫画ですが、最後のほうまで構想が決まっているんですよね。 荒川「そうですね。今はどのくらいかなあ。全体を10としたら7あたり走ってるんじゃないかな」 久米田「着地点はもう決まってると」 荒川「着地点は最初から決めてますんで」 |
凄い。この壮大な話の着地点を最初から決めていたなんて。行き当たりばったりな作品が多い中で、ここまで計算している漫画家さんは中々いないんじゃないでしょうか。以前「バクマン。」で計算されて描かれた漫画はヒットは多いけど、大ヒットは漫画家が描きたいものを描いた作品とか言ってましたが、ご存知「鋼の錬金術師」は大ヒット漫画です。これは純粋に凄いですよ。
そういえば、久米田先生が描いた「鋼の錬金術師」は味わい深くて、個人的にツボにはまってしまい大好きです。
久米田先生が描いた鋼錬
何にしても、もうすぐ終わりそうで、ここにきて再び盛り上がりを見せる「鋼の錬金術師」はマーベラスです。そうそう、久米田先生と荒川先生の対談といえば、久米田先生も「鋼の錬金術師」をベタ褒めしていたのが興味深いです。
久米田「『鋼』はちゃんと本を読んで描いてる感じします。もう一個の錬金に比べたら、もう全然。」 荒川「(笑)あれは、仕事場のみんなでご飯食べに蕎麦屋に入ったら、置いてたジャンプでちょうど第1話が載ってました。やっぱり和月伸宏先生はうまいよね!って回し読みしました。かぶったとかいう話は特にしませんでしたね。」 久米田「僕は和月さんなんて一言も言ってませんよ。またそうやって僕を悪者にしようとして。罠ですか、コレ?」 |
胸が熱くなったんだ…。