さて、「惑星のさみだれ 」の6巻が発売されました。10月29日に。今更なのですが、この「惑星のさみだれ」6巻の面白さは、ただごとではありません。年間ベストの単行本を選ぶとするなら、2008年は「惑星のさみだれ」6巻を1位に選びます。発売日に更新できなかった事が残念でありません。


表紙はカマキリの騎士・宇野花子とネズミの騎士・日下部太朗の二人。表紙を飾った太朗と花子。二人は家が隣同士で、ずっと一緒に育った幼馴染。部屋の窓から行き来できる羨ましい環境で、のっけから古典的なラブコメをやっていた太朗と花子。

28
古典的ラブコメ

あーくそ羨ましいな

毎日青春を謳歌する太朗の悩みは、今のまま幼馴染でいるか告って現状を変えるか悩む青春野郎。そんな青春街道を走るとき、九つ眼の泥人形が現れます。戦力を分断された獣の騎士団は、攻守のソツがない9つ眼にジリ貧。花子は自分が囮となって敵の目を引くと言い出しました。

そういえば、花子は七つ眼との戦いでも、真っ先に「じゃあ私が囮になります」と、あっさりと敵に突っ込んだことがありました。そういえば、ねずみのランスはカマキリのキルが付く人間は、いつも怖いもの知らずと言っていました。確かに花子は怖いもの知らずのうです。ねずみのランスのつく人間は…臆病者

そんな臆病者の太朗は「おれがやる」と、花子の代わりに囮になります。しかし九つ眼は囮となった太朗ではなく、花子を攻撃。花子のもとへ走る太朗…。

29
太朗と花子

うわぁぁぁぁ。死んだ。
死の間際に「すきだ」と告白し、「しってる」と答える花子。半端ねーな。そして、さらなる衝撃に、こちとらショックで茫然自失ですよ。

太朗が願った願いは、花子が即死以外の致命傷を即座に回復させるというもの。臆病者がガタガタ震えながら男になった願い事。その願い通り、花子は回復。太朗は花子を庇わなければ死ぬこともなく、花子は願い事で死なずにすんだ。花子は一度攻撃を受けても死なない事を知っていても、花子を助けに行った。

結果だけ見れば完全に無駄死に…。それでも花子を守りに行った。まさに勇者。「惑星のさみだれ」の単行本には各巻に副題があり、1巻「トカゲの騎士」、2巻「犬の騎士」、3巻「獣の騎士団」、4巻「指輪の騎士」、5巻「精霊」と付いていました。6巻の副題は「勇者」。

カマキリのキルは「最も勇敢なる者」を勇者と言い、ねずみのランスは、ガタガタ震えながら願いを言った太郎に「勇者(おとこ)だぜ」と返していました。太朗は最も勇敢で男である、と。

しかし、凄いショックです。半月が死んだ2巻のおまけページでは、「…お先。諸君らは後でゆっくり来るがいい。目上より遅く、子供より早くな」と言っていたのに、高3の太朗が逝くなんて。

その後、仲間が悲しむ中で南雲が太朗のことを「戦友(とも)だ」と言っていたのが印象的です。

また各話のタイトルも特徴的で、獣の騎士の中で個人にスポットが当たった時には、「騎士 ○○○」となっていました。しかし今回の太朗には「騎士」ではなく「勇者」と付けられていました。そして40話と41話では…。

40話「騎士 宙野花子(前編)」
41話「騎士 宙野花子(後編)」


タイトルが不吉すぎて、太朗に続いて花子も死ぬと思いましたが、太朗の死を乗り越えて花子は成長しました。特に掌握領域で必殺技をつけた時のシーンは感動もの。

30
必殺技

勇者の剣(クサカベ)

この名前で号泣。これはキます。あー、年取ると涙腺弱くなって駄目ですね。また、「騎士 ○○」というタイトルで生存したのは、夕日以来二人目の快挙です。

「騎士 雨宮夕日」(生存)
「騎士 東雲半月」(死亡)
「秋谷稲近(前編)」(死亡)
「勇者 日下部太朗」(死亡)
「騎士 宙野花子」(生存)

気になるのは、太朗と師匠には「騎士」とつかなかったこと。もちろん太朗は立派な勇者でしたが、騎士とつかない事が気になります。騎士とは、姫を守り地球を救うことでしたが太朗と師匠はちょっと違うのかな、と。太朗は花子を守ると宣言して「姫を守れ」と突っ込まれたり、師匠は最後の弟子を育てる…、と違った目的があったし。

6巻の見所は、太朗と花子だけではありません。6巻では前回の最後の戦いで残っていたのは、カラスのムー、犬のルド、フクロウのロキ、馬のダンスの4匹だとか。ルドは退場する時に「ふくろうに気をつけろ」と一言残していました。前回の戦いでロキとルドに何かあったようですが、気になります。

また白道さんの告白も一ラブコメ好きとして今後の展開にニヤニヤできます。そして相変わらず何を考えているのか分らないアニマ。

31
アニマ

氷雨は、アニマが眠っている時から夢の世界(?)で「…あんたどっかで会ったことなかったっけ…」と意味深な事を言っていましたし、目覚めたアニマもコスプレした友人と勘違いしたり、一緒に飯食ったり…と、バッチリ見えてます。5巻の表紙からしてアニマと関係ありそうです。

そもそもアニマはさみだれの地球を砕くという目的を知っているのでしょうか。謎だらけです。また、未来の出来事を500年前から知っていた師匠は、夕日へ残した手紙でアニマについて以下のような文章を残していました。

32
師匠が残した手紙

アニマは君に賭けている

アニマは夕日に賭けている…。何を?地球の運命を?そもそも、なぜ師匠はアニマが夕日に賭けていると分ったのか。神通力で未来が見え、何でも分っていた師匠ですが、アニマの事も分ったのでしょうか。しかし、師匠は夕日への手紙の冒頭で以下のように言い切っています。

私が死ぬことになる年の7月の終わり。この山で穴を掘る君の姿を視た。それが私の未来視の行き止まり

つまり師匠は、7月の終わりの夕日が穴掘って手紙を見つけるまでの未来しか分からなかったはず。アニマが目覚めたのは、8月以降。師匠が視える未来では、アニマは爆睡中だったはず。なぜ、アニマは夕日に賭けていると師匠はなぜ分ったのか…。寝ているアニマに考えも分ったのでしょうか。

やはりアニマの動向が気になります。そして、私服姿のアニマは凄く可愛い(結論)。