せかっかくのクリスマスですので、杉田尚先生(以下、すぎたん)の「SWOT」でも総括しましょうか。そもそもすぎたんは4年ほど前にジャンプで「斬」という漫画を連載していました。いわゆるジャンプで人気が出そうな「刀」を扱ったバトル漫画でしたが、まったく人気が出ずに、18週で打ち切られました。

大多数のジャンプ読者は「斬」は斬新すぎたと語っていました。というか「斬」というよりも「」であると斬って捨てたのです。

しかし、一部のジャンプ読者はすぎたんの描く斬新的な絵柄強烈な世界観擬音言葉のセンスで虜になってしましました。そして、勝手にアニメ化までしネットでのすぎたん人気は不動のものとなっていました。


ちなみに、「ハヤテのごとく!」の畑健二郎先生も「斬」のファンだったようで、作中でマリアさんが斬ネタを披露したのも今では良い思い出です。

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斬ネタ

恐らく、「ハヤテのごとく!」読者の約8割は意味がまったく分からないと思います。今では大人気漫画となったハヤテで斬ネタが光り輝いている。ただの18週打ち切り漫画ではありません。ジャンプ打ち切り史に確かに名前を残したのが「斬」なのです。

そんなすぎたんが昨年3年ぶりに読み切りを週刊少年ジャンプで掲載させていました。その名も「SWOT」。

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読み切り「SWOT」

簡単に説明するとガリ勉男の学崎強(まなびさききょう)は何よりも勉強が好きなヤツ。そんな彼の夢は東大に入ってNASAに入る事。勉強の邪魔するやつを持ち歩く六法全書でシバキます。何でNASA目指すのに六法全書なんだとかそういう事は大した問題ではありません。とにかくストーリーどうこうよりも絵柄が超上手くなってビビりました。

そして、この時のアンケートで読み切り「SWOT」について「絵柄の印象を教えて下さい」という質問では…

前作よりも絵が上手くなっている

という項目がありました。なんぞこれ…

そんな読み切り「SWOT」。何と今年の週刊少年ジャンプ31号から連載が開始されたのです。主人公の髪の毛の色が赤くなったぐらいで、基本フォーマットは読み切りと一緒。特に目を引いたのはヒロインの可愛さです。

「斬」のヒロイン・月島さんは正々堂々と戦えと武士道精神を説いた直ぐ後に不意打ちをかますという斬新な女剣士でした。そもそも「斬」にはヒロインが存在しなかったのではないかと言われる程。というかすぎたんに可愛い女の子を描く画力がなかっただけとも。

だがしかしである。
「SWOT」のヒロイン・ねねは可愛かった

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ねね

まさかすぎたんの描く女キャラに萌える日がくるなんて。4年前の自分に教えて上げても絶対に信じなかった事でしょう。

そして秀才ガリ勉主人公・学崎強。東大を目指すはずが、どういうわけ札付きの不良学校に転校してしまうわけですが、学崎は東大進学率80%の超名門高校と勘違いしていました。学校案内の広告を見てみると…。

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東大進学率

80%(-120%)

意味が分かりません
就職率100%を越えを謳い文句にした代々木アニメーション学院も真っ青の謎の謳い文句です。しかもマイナスってなんやねん。ちょっと真面目にどういう事だろうと考えてしまい、これはフィーリングなんだと気付くのにしばらくかかりました。

基本的なストーリーの流れは、ガリ勉主人公が不良集団を「勉強の邪魔だ」と言ってボコボコにするというもの。3話目にしてライバルが登場。

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ライバル

黒いマスクをして血に飢えた男の名前は闇暗氷くん(高校1年生
何でも、喧嘩することで己の生が実感できるらしいです。しかし、人気が上がる訳でもなく掲載順位は衰勢し続けるのでした。

テコ入れの為かどうか分かりませんが、女キャラを追加。三つ編みのお菊です。このお菊が、「SWOT」において重要な設定を口走ったのでした。

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お菊

「私もこの不良の世界に、抗争という名の地獄に身を投じる事になってしまった。血で血を洗う喧嘩の日々。一度不良世界で名前が売れてしまえば、死ぬか『頂上(テッペン)』に行くしかない

不良の世界で名前が売れたら頂上(テッペン)取るか死ぬしかないらしいのです。なんという険しい世界なのでしょうか。

Dead or Alive!

そして、お菊に制裁が。お菊は1年3強「奈落」の一員らしく、チームの規律を守らなかったと「奈落」のトップである倒藤さんが制裁に来るのでした。

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倒藤さん現る

ちなみに、ねねとお菊がいる場所は女子トイレなんですが、お菊を制裁しに来た倒藤さんは目を黒くしてダンディにかっこつけて講釈垂れてました。堂々と女子トイレに入ってかっこいい台詞を連発。倒藤さんマジぱねぇ!頂点(テッペン)目指すなら堂々と女子トイレに居座り腕組みながら殺気を放つぐらいの器の大きさが必要です。

しかし、人気は衰勢一辺倒。このままでは「SWOT」が打ち切られてしまします。そしてジャンプお約束のインフレが続いてオーラが発せられるようになるのです。もはや「SWOT」はただの不良の抗争ではありません

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「カクゴ」だ

カ ク ゴ

曰く「闘いの中、幾度も死の恐怖を味わってなお、命をかける覚悟がある者のみが使える力」。唐突に「カクゴ」という名の気を繰り広げ出しました。チャクラ、オーラ、覇気…と、「SWOT」もジャンプバトル漫画に真の意味で仲間入りです。

倒藤さんマジ強ぇー!
さすが堂々と女子トイレに入っただけあります。学崎は今までの不良喧嘩バトルが一変してオーラを駆使する相手にフルボッコ。つまるところ「ろくブル」の世界にいたはずが「ドラゴンボール」の敵に出会ったようなもの。手も足も出ないと思ったら覚醒するのです。

裏カクゴ

もう何が何やら。しかも1年3強という設定だったのに、他の2強ほとんど登場せずに2年に潰されていました。そして、ジャンプバトル漫画のお約束「昨日の敵は今日の友」で倒藤さんが仲間になるのです。いきなりカクゴという名の気を出した倒藤さんが仲間に加われば百人力で…ん?

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倒藤さん

2年ですらカクゴ使いがゴロゴロいる上、一人一人その能力が違う。3年どころか今の俺たちでは2年にも勝てるかどうかも分からない

今まで散々「頂点(テッペン)取る!」と言っていたくせに、仲間になった途端に速効でヘタレ化。で、裏カクゴの使い手は現頂点(テッペン)の3年の終創始(おわりそうし)だけだとか。

よく分かりませんが、1年3強がいる→1角倒したら後は他が潰した→2年はもっと強い→3年はやべぇ…という感じ。

あ、ちなみにこの辺りから「SWOT」の掲載順位は最下位が定位置となりました。しかし、すぎたんの底力はここから発揮。なんとねねとお菊が学崎に惚れるという。

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お菊とねねが陥落

一体どこでフラグが立ったんだ!
しかしねねもお菊完全の陥落ちています。ここで女キャラが主人公に惚れる展開とか…すぎたんの野郎…分かってんじゃねーか!ここでラブがコメる展開を挿入とは恐れ入りました。

「斬」では見れなかったラブコメ展開が始まるというのか!はじまったのである。押し倒すは、胸ダイブとか正真正銘の甘酸っぱい青臭い展開が!

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ねね

まさか、お菊のおかげで学崎の事好きって気付くなんてさ

なんぞこのラブがコメる展開の連発は。すぎたんに、頬がニヤニヤさせられるなんて悔しい!でも…(ビクンビクン)

ねね無双が続けば、お菊も負けていません。

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お菊

ぱ、ぱんつだと…
すぎたんがパンツを描いたのです。
ラブコメ展開有り、お色気有り…間違いなく「SWOT」が最も輝いていた時期です。ちなみに、この後も掲載順位は二度と浮上する事はありませんでした。

すぎたんは女の子を描くの上手くなったのに加えて、ニヤニヤするラブコメとパンツと素晴らしいじゃないですか。あ、バトル展開はゾンビが出てた

そして2年生を倒し、ついに3年最強の終創始と対決…と思ったら終わった。なんだよ戦わないのかよ!20週で打ち切りでしたが、何よりも前作の18週を越えられたのが何よりも良かった事です。あんま突っ込むのもヤボなんですが校長退陣で学園の平和って…学園の平和目指す漫画だったのかよ!

まあ結論として、ねねが可愛かったという事です。