今日はちょっと漫画でも紹介しておきましょうか。

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ひみこい

秘密の恋で「ひみこい」、作者はろびこ先生。1巻とついていますが短編集みたいなものです。収録されているのは「タイムリミット」、「あらしの夜に」、「ビー玉の橋」、「先輩の彼女」。どれもこれぞ少女漫画っていうぐらいニヤニヤできるんですが、プラスして話を作るのが凄く上手いな、と。

「タイムリミット」をちょっと見ていきましょうか。受験を控えた高校3年生なのに、授業をよくサボる男女。男は吉井、女は山田

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山田まこ

ヒロインの名前が山田というだけで反応してしまうのは、条件反射みたいなものです。山田と吉井はよく校内の避難場所で授業をサボる仲間。進級したばかりの頃に避難場所で教師の情事を覗くようになってから、2人の間では常にトランプを使って勝負を決めます。

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トランプで勝負

「ねえ、ところで小腹すかない?」と言ってトランプ差し出して、赤か黒かを決め、ハートの4(赤)が出ました。吉井は「またオレかよ」と言ってパシリに出るのでした。特に会話もなく、ちょっとしたやり取りでパシリに使うか使われるかを決めるやり取り。しょっちゅうトランプ勝負をしているようです。また、「またオレかよ」ということは吉井はいつも勝負に負けているようです。

山田は一緒に登下校とか手作り弁当とか、そういう甘酸っぱい思いでもなく、アホらしいこと(教師の情事を覗く)して青春が終わる事を嘆いています。それを吉井に「そんなに後悔するなら、思い出作りでもしてこいよ ひとりで」と言われ、「そうよね、このさい相手なんて誰でも」と一人納得するのでした。そして山田は勝負を申し出るのでした。

次の授業、カヨちゃんは下着をつけてるかどうか。

勝負は山田が勝ったようで、思い出作りに付き合せられる吉井。「カヨコ、アレはいったいどういうことだ」とブツブツ言っていた事から、カヨちゃんは下着をつけていなかったようです。カヨちゃん…君は一体どんな教師なんだ。

そして思い出という名のもとで擬似デートをすることに。アイスを一緒に食べたり、手を繋いだり、弁当作り合ったり、映画に一緒に行ったり…、キスしちゃったり

うっひょーっ!甘酸っぺー!

ちょっと上手く説明出来ないのですが、山田が「そうだ!吉井、キスしてみよっか」という台詞から3ページ使ってキスするまでのお互いの言動とか間が上手く描かれており、絶妙でオッケーイ!

キスした後、お互い口元をごしごし拭いた後に…。「こ、今回はさすがに、ちょっとドキドキしちゃったわ」「は、オレも」というやり取りがニヤニヤもの。うっひょーっ!甘酸っぺー!

翌日、山田は勝負を持ちかけます。

あたしが勝ったら、吉井はカヨちゃんをあきらめて、あたしを好きになるの

オッケーイ!この後の山田の「…どうやらあたし、あんたのこと好きだったみたいよ」という台詞が甘酸っぱいこと甘酸っぱいこと。

まあ、自分も様々な娘の恋の行方を見てきました。落とし神のごとく、一気に恋の行方をシュミレーションできます。その経験から申し上げますと、この恋は成就しますよ。吉井も山田が好きです。擬似デートの仕草で吉井の思いは自然の定理のように分ります。この恋は完璧両思い。

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ごめん

振ったー!?

…ごめん山田。その賭けにはのれない」と言って山田を振ってしまいました。えー!どう見ても脈アリに見えたんですが。こうして山田は、最後にの甘酸っぱい思い出が出来上がるのでした。好きだと気付いた瞬間に終わったそうです。つまり、吉井がカヨちゃんを見つめる姿を見て好きだと気付いたんですか。うっひょー!甘酸っぺー!

甘酸っぱい思い出を作り、受験を突破し卒業式。卒業式へ向かう途中に吉井から「勝負」という件名のメール。「赤だったら来て。」という本件。山田のトランプは、ダイヤのA、ダイヤの7、ハートの10、ハートの3、ダイヤのQ…って赤しかありません

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卒業式

山田「…こんな日まで、勝負を持ちだすなんて。吉井はきっと賭けごとで身を滅ぼすタイプね」
吉井「…イカサマ常習犯に言われたくないよ」

ちょ、ちょーとまって!今、吉井が何か言ったから静かにして!!イカサマって気付いている…。何時も分っててパシリをしてたんですか。何ていい人なんでしょうか。将来、運よくいい人ってだけでライテックスで出世しそうです。

そして吉井から「山田、オレを好きになって」と言い出す始末ですよ。イカサマに気付いていたという事は、以前に山田を振った時は、イカサマの勝負じゃなく、オレ様の愛は本物だってことか。オッケーイ!

「タイムリミット」というタイトル。1ページ目から、ナレーションで「残された時間は、もうわずか」と言っており、これは山田が卒業するまでの期間がもうわずかだったのが、ラストでは同じナレーションで、山田に熱烈な愛の告白して欲しいと言われて、吉井が考え込んで、卒業式終わっちゃいそう、という締まらないオチで、タイトル通りタイムリミット。うめぇ。ニヤニヤが止まらん。