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「グラゼニ」プロ野球選手の銭にスポットを当てて面白い
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2011年05月27日
私のおウチはHON屋さん(3) (ガンガンコミックスJOKER)
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横山 知生
スクウェア・エニックス (2011-05-21)
スクウェア・エニックス (2011-05-21)
「私のおウチはHON屋さん」3巻が発売されました。
女子小学生がエロ本屋でエロ本を売るという設定だけで実に素晴らしいのですが、今回はみゆちゃんが幼女時代の話で卑猥な単語連発したり、クリームが顔にかかって疑似顔射したりと実にけしからん内容です(笑顔)。
しかし、3巻のキモは別冊「お仕えニンジャ雅」という番外編。忍者(クノイチ)とラブがコメる話なのですが、これが超ストライク!ぶっちゃけ本編よりも面白かった。私の頬はニヤニヤしてとんでもないことに。雅可愛すぎる!

雅
本当に素晴らしいラブコメでした。これは必見の価値あり。
さて、コージィ城倉(森高夕次)先生が手掛ける野球漫画の多くは斜めというか変化球で、決して王道ではないのですがそこが超面白いわけです。
例えば「砂漠の甲子園」。
コージィ先生の実体験を元に描かれたスポ根野球漫画でありながら高校野球を皮肉った傑作です。なんでも高校を野球推薦で入学して、途中で野球部を辞めてしまった生徒はどこか気力なく、体育の野球やソフトボールでめがっさ上手くもったいない。これは使えるって事で、新設高校に名門野球部を途中退部した生徒を新設校に入学させ甲子園目指すという。デブが俊足の1番バッターとか、王道なんだけどどこか斜めな野球漫画でした。
現在も連載中ですが「おれはキャプテン」。
おれはキャプテン(25) (少年マガジンコミックス)
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コージィ 城倉
講談社 (2011-02-17)
講談社 (2011-02-17)
「中学野球の章」「くたばれ甲子園の章」「新主将の章」「高校3年生の章」と続き、現在は最後の夏の大会が始まりました。引きこもりがちで影の薄かった男が急遽、新主将に任命され性格が激変した中学時代。高校時代は、現実にあった高校野球の事件を漫画で組み入れるなど、どこか高校野球の問題を皮肉った感じがたまりません。ちばあきお先生の「キャプテン」「プレイボール」を襲来というかテイストがあるのですが、清く正しく努力するという感じではなく腹黒さとかが実に素晴らしいです。
チャンピオンで原作した「ショー☆バン」「ストライプブルー」。
「ショー☆バン」は中学野球を描いた名作なんですが、主人公はひたむきに努力するようでいて、すぐに調子に乗って天狗になってしまうという。コージィ城倉先生はむしろそこがリアルであるとコメントしていました。
リアルな中学生だったら、ちょっとうまかったら天狗になるのは当たり前。そいうのはマンガでやるのはヘンかもしれないけど、そんなに悪いこととは思いません。「主人公が主人公らしくない」とか、そういう規範は自分の中ではあんまりないんですよね。
「ショー☆バン」の続編にあたる「ストライプブルー」では、ショーバンの弟が主人公で甲子園を目指す高校野球漫画。主人公はきちんと王道的な野球漫画の主人公像でありますが、実は左右どちらでも投げられるという「ドカベン」の木下もビックリな両投げ投手。精密なコントロールの左、ノーコンだけど剛速球の右…と、やはり斜めな野球漫画です。
コージィ城倉先生は王道ではない、と。どこか違う見解というか角度から見た野球が私の琴線に触れまくる。
で、森高夕次ことコージィ城倉先生がモーニングで不定期連載している「グラゼニ」。以前にも紹介しましたが、これが超面白いんですよ。先日、ようやく単行本1巻が出ました。
関連、プロ野球選手の銭や金にスポットを当てた「グラセニ」
今作はプロ野球が舞台。
プロ野球といえば仕事から帰ってきたら、ついついビール片手に見てしまうというもの。華やかなプロ野球の世界。プロ野球選手は夢を見させてくれるんですよね。
プロ野球は夢のある場所。夢のある提示をして欲しい(2007年の契約で揉めた西武のGG佐藤選手)
プロ野球選手は夢を与えるからゼニよこせ!
僕はシーズン中のペナントレースも大好きですけど、シーズンオフに繰り広げられる人間の醜い本性全開の契約更改が大好物だったりします。華やかでヒーローのプロ野球選手も金に拘る人間なんだ、と。
そんなわけで「グラゼニ」はプロ野球の裏の醍醐味である金やゼニにスポットを当てて野球漫画であり、これが私の琴線を鷲掴みにするのです。主人公・凡田夏之介は年俸1800万円の中継ぎ投手。

凡田夏之介
「僕は中継ぎ投手です。高卒でプロ入りして8年目。まあ左投げでこんな風に横から投げてると、それなりに存在価値はあるんです」
夏之介は他の選手の年俸が気になる年俸オタク。グランドには銭が埋まっているとはよくいったもので、どうすれば年俸が上がるかとかそういう事が語られ、実に興味深いです。そして、夏之介はプロ野球を以下のように言い切るのです。
「所詮プロはカネです。自分よりも給料が高い選手は"上"に見て、低い選手は"下"に見てしまう!それがぶっちゃけの"プロ"…!」
また興味深いのは引退後の選手にスポットが当てられた時。何年できるか分からないプロ野球選手で、引退後に年収300万ぐらいのラジオの解説者はまだ"花"なんだとか。

引退後
「おれは知っている…引退後の1年目の年収が100万いかなかった先輩、同僚、後輩―を…!」
100万って…暇人な大学生当たりがバイトして稼ぎそうな金額ですけど、引退後の選手は大半がこのコースだとか。もちろん漫画ですので本当かどうか分かりませんけど。逆に1番の勝ち組は、華々しい実績を残してコーチになれば年俸1千万は保証されるとか。まあ、漫画ですので。だって実際にプロ野球見れば1軍半の選手が引退してコーチになる事は多々ありますしね。
そんなわけで何年やれるか分からないプロ野球選手は出来るだけ現役の時に稼いでおかなければならないらしいのです。他にも同期は年俸が上でも親友的な立場とか、高校が別でも同郷の選手の信頼とか、年俸関係なく年上が奢らなきゃいけない…等など、プロ野球好きには別の角度にスポットが当たっており興味深い内容。

年俸関係なしに年上が奢る
「この世界には年俸の高い低いに関係なく"飲み"の払いは年長者―というしきたりがありまして…。例えば年俸1千万の先輩が1億の後輩と飲みに行った場合…払いは1千万の方なのです」
そして傑作なのが6話「引退のレール」。
ほら、某球団の「小○保引退しろ」とか「金○引っ込め」とか「吉○出すな」とか良くネットで見かけるじゃないですか。そういう実績あるベテラン選手の引退する時とか、実は球団はバカ高い年俸の実績あるベテランはコスパ悪いから本当は切りたい…というドロドロした所を描いた傑作の話。
40歳を超える4億円プレイヤー土手来。実績は申し分ありませんが、どう考えてもコスパが悪い選手。球団は本当は切りたいけど、ファンからもオーナーからも愛されてるので切れないし試合にも出ます。

本当は切りたい
「しかし41のドテに4億払う価値があるでしょうか?」
「ドテは我がチームの"顔"であり、今や"球界の宝"になりつつある」
「ただ―なぜウチが"球界の宝"に給料を払わなければならないのか?」
人気選手だけどコスパが悪い選手がいるせいで他の補強がままならない話など、本当かどうか分かりませんが本当に面白い。
そんなわけで、「グラゼニ」。プロ野球の試合というよりも裏舞台、特に銭の話が描かれておりプロ野球好きなら超お勧めであると言えます。