「1/11 じゅいちぶんのいち」2巻が発売されました。
以前にも紹介しましたけど、これがめちゃくちゃ良いのです。いやもうくちゃくちゃ良いのです。超お勧めで、思わず目頭が熱くなってしまいます。

「1/11 じゅういちぶんのいち」目頭と胸が熱くなる!
隠れた名作「1/11 じゅういちぶんのいち」

季刊誌・ジャンプSQ19で連載されていたものです。めでたい事に2012年2月号より(随分先だな、おい)ジャンプSQ本誌へ移籍が決定しました。いやーこれは楽しみですね。

サッカー漫画ではあるけど、派手なアクションやドキドキするような試合をするわけでもありません。メインなのは「人間ドラマ」。思わず胸を打つ感動する話。ちょっと青臭くても、鼻に付く事もなく清々しいほど真っ直ぐなんです。基本1話完結のオムニバスもので、主人公・ソラと関わりのある人物の人間ドラマ。

1巻は読み返すたびに心に響き泣いたもので、個人的に物凄く評価が高い作品です。で、2巻では「1/11 じゅいちぶんのいち」の中で最も感動した4話「神埼真臣」が収録。ガチ泣き必至ですよ。

大学卒業後にプロ入りするも、正ゴールキーパーではなく、ずーっとセカンドゴールキーパーとして過ごしてきた神埼も29歳。日本代表のGKがクラブにいる為に、正ゴールキーパーになれません。それでも、神埼は腐らずに毎日ひたすら練習して過ごしていました。

そんな彼に転機が訪れました。正GKが代表の練習試合で怪我を負い長期離脱。セカンドGK神埼に次節からスタメンのチャンスが舞い込んできたのです。

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ようやく―チャンスが来たぞ…

今まで補欠で息子にまで「ほとんど試合に出てるの見たことないけど…パパって本当にプロのサッカー選手なの…?」などと言われていた神埼もようやく掴んだチャンスで好セーブを連発。

ナイスプレーを続ける神埼
しかし事件は起きるのです。相手チームの助っ人外人がイライラして反則的なプレーを仕掛けて接触プレイ。神埼は危険を察知し、場合によってはタダじゃすまない、怪我をするんじゃないかと事前に把握できていました。せっかく掴んだレギュラーのチャンス。そして神埼が取った行動は…。

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神埼

「俺は、レギュラーの座を守りたいからGKになったのか?」
違うだろ、今この瞬間のゴールを守る姿を家族に見せたいから、GKになったんだろう!!」

そして全治2ヶ月の大怪我。
ようやくレギュラーを掴んだチャンスで、接触前に危険を察知していた…それでも、と。行くしかない、と。その後の、家族エピソードは号泣して涙で前が良く見えなくなりました。これは是非読んで欲しいもの。

「1/11 じゅういちぶんのいち」はどれも感動して泣ける珠玉のエピソード揃いなのですが、全てに共通する「後悔したくない」という主人公の姿勢が胸を打ちますね。基本的に以下の3点こそがキモ。

・後悔したくない
・勇気を出して前へ進む
・変わる

この漫画の痺れるのは、「後悔したくない」と葛藤して悩み、「勇気を出して前へ進む」事。前へ進む主人公はそれをきっかけに「変わる」のです。神埼は怪我をきっかけに「ゴールを守る姿を家族に見せたい」と考えチームを移籍する事に決めました。

「後悔をしたくない」から悩み葛藤し、「勇気を出して前へ進む」事を決めた時の爽快感。そして主人公が一皮向けて「変わる」…この流れが最高なんだってばよ!

5話「水野由花」はまったくサッカーと関係ないエピソードで、高校時代のソラの同級生の話。嫌な思い出の曲を文化祭の合唱コンクールでやる事になり、嫌な思い出の曲をより良い思い出の曲に上書きするという話。

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水野由花

「変わる」という事は「成長する」ことでもあるわけで。
それぞれ各話の主人公がソラと絡んで(絡まなくても)、成長していく姿が本当に素晴らしい。悩んだり葛藤した末に出す答えがたまらんばい。グッとくる。泣く。本気で青春してる!

本当に本当に超お勧め。
若い頃にあった忘れてた「何か」を思い出すのです。