心臓が足りない (花とゆめCOMICSスペシャル)
福山リョウコ
白泉社 (2011-12-20)

「悩殺ジャンキー」「モノクロ少年少女」の福山リョウコ先生の初短編集が発売されました。収録されてるのは「だから言ったじゃん」「ケダモノ天国」「バチバチ」「半端カンカク」「ゼロセンチ」「心臓が足りない」の6本。個人的お気に入りは「ゼロセンチ」。

どうも僕は「幼馴染」というフレーズにグッと反応してしまうようで。幼馴染というのは僕らが最期に帰る故郷なのです。約束された勝利のヒロインであり、絶対の存在なのです。それは少女漫画でも「ゼロセンチ」も僕の心の琴線を刺激するってもの。高1の男と中2の少女の幼馴染話なんですけど、この年で毎日一緒に寝ているとかどうなんだと。声を大にして言いたい、羨ましいと。

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毎朝一緒の布団

朝起きたら幼馴染の可愛い娘が一緒の布団にいるとか。実際にこんな事があれば、ちがう所が起きちゃうじゃないですか。

ギャルゲ&エロゲの「幼馴染」で最もポピュラーなものって、鈍感(に見える)主人公と十数年間想いを寄せる一途な娘ですよ。で、主人公は幼馴染の娘の気持ちにも自分の気持ちにも仮面を被ってると相場は決まってます。何か事件とかあって主人公は気付くんですよ。俺は最初から気づいていた、分からない振りをしてたんだとか云々。そして気付く、と。今の関係が変わるのが怖かった、と。

これが最もポピュラーな「腐れ縁→幼馴染END」なわけで。やはりこれがクソニヤニヤする幼馴染設定で万国共通で少女漫画にも当てはまるわけで。少女視点で見れば、やっぱりニヤニヤ出来るのです。まあ、この短編は腐れ縁のまんまですけど。
Seasons
Seasons
posted with amazlet at 11.12.23
竹宮 ジン
白泉社

竹宮ジン先生の百合漫画はなんでこんなに素晴らしいのか。ニヤニヤ出来るし、胸がギュッとくるんだってばよ!女の子同士という心の葛藤を真っ直ぐに描き、それが痛く切ない。竹宮ジン先生の同人誌作品を収録した「Seasons」。これまたくそニヤニヤして、痛い。
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「想いの欠片」痛くて、おもしろい。そして、せつない

で、個人的に竹宮ジン作品でウバババとなるのは「報われない娘」ですよ。「しろくろ」では黒沢さんと白井さんのラブがコメる姿に頬を緩ませてニヤニヤしつつ、白井さんの友人赤木さんの存在感が半端ない。基本的に腹の底を見せない彼女が最期に見せた目力に心臓を鷲掴みにされてしまいましたよ。実は赤木さん白井さんが本当は…というもので、その後のやさぐれた感じの切なさと痛さがヤバイ

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ヤバイ

「逃げてする後悔と、逃げないでする後悔」「どっちがいい?」と、最後まで自分の想いを心の内に留めた赤木さん。身の毛がよだつぐらいゾクゾクさせられます。

「Lost」では、主人公の親友で永遠に叶わない想いで自虐的に笑ったのもやばかった。竹宮先生は"失恋する女"を描くのが本当に上手い。胸が締め付けられまくる。

コミックガンボをご存じでしょうか。
4年ぐらい前に駅とかで無料で配布してたフリーペーパーならぬフリー週刊誌です。1年持たずに会社が倒産してしまったのですが、地味に良作揃いだった雑誌で惜しまれます。「パート怪人悪キューレ」など最高に傑作でした。「パート怪人悪キューレ」の単行本が出た時など小躍りしたもの。
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「パート怪人悪キューレ」奇跡の完結

そんなコミックガンボで地味ながらも良質な食べ物漫画がありました。「デパチカ」というデパート地下の食品売り場を舞台とした食漫画。その「デパチカ」が「デパ地下」と名前を変えて日本文芸社からまさかの単行本化!

デパ地下! (ニチブンコミックス)
東 史朗
日本文芸社 (2011-12-09)

「デパ地下」が単行本でまとめて読めるなんて、こんな嬉しい事はない!

老舗デパート広告宣伝部だった主人公が支店のデパ地下の主任になってしまうところから物語はスタート。名店の佃煮屋がデパート地下ではなぜ流行らないのか、料理における臭い、デパート内の店の配置のウンチク、ワインや日本酒とツマミ、食の原点塩…と、興味深い内容。

食に関するウンチクが素晴らしい。
「食の黄金比」では、美味そうに見える料理の黄金比を解説。料理の視覚の話が唸ります。なぜコロッケは楕円形やたわら形なのか、それは縦横の長さに秘密があるのでした。

人間が最も旨そうに見える比率は「1対1.618」なんだとか。近似で「料理の5対3の法則」です。例えば4つのカレーを並べてみれば一目瞭然。

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カレーを並べてみて

どれが一番旨そうか。
右から二番目ですよね。カレーライスのカレーとご飯が見えてる部分の比率が「5対3」の割合。これが一番食欲を掻き立てる、と。

で、目玉焼きもやっぱり「5対3」の法則であったわけで。
たかが目玉焼きでも料理の基本で原点。丁寧に美味しい目玉焼きを作りを解説してくれて読めば直ぐにでも美味しい目玉焼きを作れるようになります。

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目玉焼き

食の道は奥深い、味だけに拘ってはその奥深しさが見えてこないのです。食い合わせ、見た目、臭い…と様々な視点で料理の神髄を味わえます。