めしばな刑事タチバナ 4 (トクマコミックス)
坂戸 佐兵衛
徳間書店 (2012-02-09)

第1回週プレマンガデミー賞第1位
プロスコミックアワード2011グルメマンガ部門第1位
このマンガがすごい2012オトコ編第9位

どうも漫画賞を堂々とオビに載せる漫画に抵抗のある僕は、こういうのは勝手にやってるからいいんであって、出版社が他所の○○賞なんかに乗っかるなよとゲンナリして萎えてしまいます。とはいえ「めしばな刑事タチバナ」が他所の賞をオビに載せているのにはまったく抵抗がないのは「週刊アサヒ芸能」という漫画雑誌ですらないAV女優・ヌードグラビア・政治・芸能などのゴシップ記事雑誌に連載しているせいなのかもしれません。

「めしばな刑事タチバナ」4巻が発売されました。
普段からジャンク系のチェーン店で外食する私にとって、身近な飯を題材に語りまくる「めしばな」の面白さは只事ではありません。
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4巻からついに表紙から「アサヒ芸能」が消えました。
今までアサヒ芸能を置いて飯を食う立花さんというフォーマットだったのに。

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アサヒ芸能を読みながら飯を食う

別にアサヒ芸能に思い入れなどありませんが、「めしばな刑事タチバナ」の単行本では常に立花さんがアサヒ芸能を読みながら飯を食ってるという馴染みある表紙で統一して欲しかったかな、って。

4巻に収録されているのは、レトルトカレー、納豆丼、コンビニカレー、パンケーキ、スタ丼、松屋のカレー、東京チカラめしの焼き牛丼、アイス…というもの。誰でも一度は食べた事がある飯を網羅している、日常の飯話を熱く語るのが僕の心の琴線に触れまくりです。

とはいえ4巻はちょっと今までに比べるとパワー不足な感じ。
もちろん面白いんですが、終始立花さんが一方的に語るエピソードが多く、「めしばな刑事タチバナ」の醍醐味である、俺は○○を推す、俺は○○だといった感じの飯の派閥争いがなかった事かな。アイス編ではあるんですが、アイスじゃガツンときません。

個人的なキモはカレー。
レトルトカレー編では、レトルト界には3つの階層があるんだとか。ボトムが「ククレカレー」や"箱なし系"の100円台で手に入るもの。200円台中盤のやつら。トップは300円台中盤のあからさまな"高級系"。500円オーバーの「資生堂バーラー」やスープカレー系。

立花さんはレトルトカレーを買う時に、この3クラスで静かなバトルが始まる。
その中でも立花さんがよくお世話になるのが"中村屋"。その中でも「ビーフ」よりもチキンにいってしまうという立花さん。何故チキンにいくのかというと、本家・中村屋のインドカリーに最も近い味だからだとか。

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中村屋チキンカレー

お前さん…"再現性"高いねぇ

おっと、これは今までになり台詞です。
レトルトを食べる度に、本家の再現性にシビれるという立花さん。事実、アマゾンの中村屋インドカリースパイシーチキンのレビューでは以下のような感想が寄せられていました。


新宿中村屋のインドカリーのレトルト。
このシリーズの製品の中で、新宿中村屋のお店で出てくる「インドカリー」に一番近いのがこれでしょう。

実際の評価も新宿中村屋のインドカリーに近いと。
しかし、立花さんは本当に中村屋の味を思い出しているのかと疑問に思い、家でレトルト食ってすぐに中村屋本店に向かって本物を食ってみるというアホな行動をした結果…。

全然違う」という結果になってしまいました。再現性は35%ぐらいで、本当に近いのは高級ブランド「民族レストラン」シリーズや「味文化インドカリー」、一番近いのは缶詰。じゃあ中村屋のレトルトは何を再現しようとしてたのか、そして立花さんは一つの結論に達するのです。

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結論

『再現しよう』って心意気のほうだったんだ

なにこのちょっといい話風のまとめ方は!
相変わらずアホで素晴らしいですね。

あと、個人的には「てんや」と「天丼 あきば」論争では、天丼にしかスポットが当たっていなかったのはちょっとガッカリかも。「てんや」のキモはそば・うどんセットじゃないかな、かな。そばとうどんセットで頼んでこその「てんや」(偏見)なのに丼だけにスポットを当てて優劣は決められません。

ついでにいえば、「松屋フリーク」の僕は松屋のオリジナルカレーにスポットを当てたのは胸熱でした。スパイシーなチキンカレー、フレッシュトマトカレーなど松屋のオリジナルカレーはアグレッシブに攻めてくるのを解説したのはマーベラス。一点だけ気に食わなかったのは2006年にぶちかました松屋スープカレーを1コマで済ませてしまったこと。

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松屋のスープカレー

「"スープカレーの乱"なんかもあったぞ」と1コマで流してしまいました。
これはちょっとショックです。松屋のスープカレーは「スープカレー+ご飯」の"プレーン"と呼ばれる一番グレードの低いものしかなかったみたいじゃないですか!当時は、「スープカレー+ご飯+ナン+生野菜+コンスープ」と、これにフライドチキンをプラスしたものの三種類ありました。

特に生野菜はどうやって食うんだ(ご飯とナンの横に盛られてた)という配置でありながら、あのナンと冷たいコンスープはクセになって何度も通ってしまう程だったのに。1話で尺が足りなかったかもしれませんが、松屋のスープカレーはかなりの拘りがあった幻の消えたメニューなのに、そこをきちっと語って欲しかったという気もします。

…と何故か熱くなってしまうのも、身近な飯だからこそですよね。
「めしばな刑事タチバナ」、改めて日常のよく食べる「飯」をテーマにしてるだけに面白すぎる。

めしばな刑事タチバナ 4 (トクマコミックス)
坂戸 佐兵衛
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