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「3月のライオン」誰も知らない世界へ向かってく勇気を"ミライ"っていうらしい
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2012年03月26日
「3月のライオン」7巻が発売されました。
読むたびに感情が揺さぶられてしまいます。泣いたわ。前巻が「戦いの6巻」というキャッチコピーで7巻が「勇気の7巻」です。キャッチコピーだけでグッとくるってもの。
7巻冒頭の64話「銀の羽根」がのっけから響きまくる。前回まで悪役として描かれてた山崎順慶の後日談。山崎の回想から始まるんですけど、これが凄いインパクト。「信じれば夢は叶う」というのは本当だけど、一文が抜けている。「信じて努力を続ければ夢は叶う」というのが正解である。さらに言えば…。
信じて
「他のどのライバルよりも1時間長く
毎日 努力を続ければ
ある程度迄の夢は、かなりの確率で」
叶う―――だ
「他のどのライバルよりも1時間長く
毎日 努力を続ければ
ある程度迄の夢は、かなりの確率で」
叶う―――だ
なんだこの台詞は。
まったくもって同意すぎる。「はじめの一歩」の鴨川会長の「努力した者が全て報われるとは限らん。しかし成功した者は皆すべからく努力しておる!」に勝るとも劣らない屈指の名言で真理だと思う。
死にもの狂いで信じて努力を続けて夢は「ある程度まで」「かなりの確率で」叶う。絶対に叶う保障など当然ない。だからこそ努力を続けるのには勇気がいるようになる。報われない努力を報われると信じて続ける勇気。山崎はいつの間にか、その"勇気"がなくなり、リミッターの効いた努力しか出来なくなる。
山崎順慶
将棋を真っ暗な水底に潜る事に例え、潜れば潜る程「答え」が手に入ったのも昔。今では潜っても「答え」など見つからず先に進めなくなる。リミッターの効いた努力しか出来なくなった山崎を尻目に零と二階堂は何度も果敢に潜っていく。そして山崎ももう一度勇気を出して潜る、頑張る。
そういえば、山崎と対局した二階堂棋譜を見て零は「まるで一篇の冒険小説」のようだったと例えていました。
二階堂の棋譜
「二階堂の棋譜を思い出していた。『迷い』『ためらい』『ひるみながら』もそれでも『自分の今まで』を信じて『憧れの地』目指して火の玉みたいに突き進む…まるで一篇の冒険小説のようだった」
迷って躊躇って怯みながら、自分の今までを信じて突き進んだ二階堂。どれだけ勇気がいったことか。二階堂も恐怖がないわけじゃないけど何度も潜っていく。
零にしても泳いで泳いで泳いだ末に辿りついた島から次の島に向かう気力はないと例えていた(11話)。後藤に為す術もなく敗れ「仕切り直しだ、一からな」と誓う三角もそう(26話)。名人に惨敗しこれからも途方に暮れるけど「また一から頑張りますか」と述べた島田もそう(43話)。何度も挫折し立ち止まろうとするも、なんかんのでもう一度頑張る。今まで「3月のライオン」では数々の棋士達が何度も挫折を味わって、その度に何度も立ち上がる描写が描かれていた。それがグッときたものです。
零&島田一から頑張る
「3月のライオン」って後姿で歩いて行く描写が凄く多いんですよね。物語の締めは特に多い。それはキャラが前進する時に描かれている感じ。前を向いて先に進むって感じが実にグッときます。でも前を向いてもう一度頑張るってのは凄く勇気がいることなんですよね。勇気ある前進。
「勇気の7巻」のキャッチコピーは実に的を得ている。前巻が「戦いの6巻」も的を得ていたいけど、戦うには勇気がいる。将棋だけでなく何事でもそうだと思うんですよ。仕事にしても、勉強にしても、スポーツにしても。ある程度まではソコソコの努力でいけるけど、そこから先は直ぐに結果が出ない報われない努力をし続けなくちゃいけない。そこから努力できるかが大事なんですよね。
現実と戦うには勇気がいるんですよ。それは当然イジメ問題もそう。
個人的に印象的だったのはあかりさんの勇気です。
あかりさんの勇気
「ひな…おねいちゃん行くわよ。三者面談だって何だって。どこまでもひなの味方だからね」
あかりさんの勇気は良い。7巻のキモはひなちゃんのイジメ問題の解決。学年主任の先生の介入で一気に解決し、客観的に見ればあかりさんは役に立たなかったといえるかもしれない。でも、勇気を出して向き合ったあかりさん。イジメっ娘の母親に何も言い返せなかったけど、「おねいちゃん、ありがとう来てくれて」「ひなの味方でいてくれて…」と、それだけで嬉しいと言ってくれるひなちゃんにグッときます。結果より経過を見ててくれるひなちゃんに感動する。
それは零もそう。「結局、僕は何もできなかった」と言う零にそんな事はないと、私は嬉しかったと言うひなちゃん。現実は結果が全てで、頑張ったという過程なんて誰も評価しない。だから頑張るのは勇気がいるんですけど、その頑張った事を見ててくれて感謝するひなちゃんに胸が熱くなる。
ひなちゃんの関連エピソードは目頭が熱くなってしまうもの。心から良かったと思えました。あと個人的に僕の心の琴線を刺激したのは河ですね。というのもひなちゃんはひとりで泣きたくなると河に向かうんですよね。
ひなちゃんは河へ向かう
「彼女はいつも、泣きたくなると、ひとりで河に向かっていた…」(63話)
母親を思い出した時、いじめがひなちゃんに向いた時、ひなちゃんは孤高に河で泣いていた。7巻でもひなちゃんは河へ向かう。あかりさんと手を繋いで味方と言われた時、いじめ問題が解決して友達とクッキーを焼いたのを零に報告した時。
ひなちゃんはやっぱり河へ行く
ひとりで河で泣いていた時も零が来てくれてひなちゃんは凄く嬉しかったことでしょう。あかりさんが味方と言ってくれたのも嬉しかったことでしょう。悲しくて泣きたくなって河へ向かうひなちゃんは、嬉しくても河へ向かうのである。嬉しくなって河へ向かうひなちゃん最高や!ひなちゃんは泣き顔と河も可愛いけど、笑顔と河が最高に似合う。
しかし、どう見ても零とフラグ立ちまくってるんだけど、ラブがコメる展開はあるんだろうか。
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