はじまりのにいな 2 (花とゆめCOMICS) はじまりのにいな (花とゆめCOMICS)

泣いたわ。

まったく食わず嫌いでスルーしてましたが、「はじまりのにいな」めがっさ面白いじゃないですか。じわじわと評価が上がっているらしく、それも納得の素晴らしさというもの。

前世から、あなたのことが好きでした
新しい家に引っ越してきた少女・青八木新菜(10歳)。初めて来たはずの場所、でもその場所を知っている。「初めて来たはずなのに、私は確かにその街を知っていた」「初めて会うはずなのに、私は確かにその人を知っていた」と出会った隣家の青年・篤朗(25歳)はなんと前世の恋人

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生まれる前から好きでした

いわゆる「転生もの」です。
前世もの、転生というと前世は歴史上の人物だとかそういう壮大なロマンスを連想しますけど、「はじまりのにいな」は現代日本の中での輪廻転生。

篤朗と雨宮千歳は恋人同士だったが、10年前に千歳は亡くなった。享年15歳。その千歳の生まれ変わりが新菜である。前世の記憶を持つ10歳の少女が、前世の恋人と再会するという恋愛ロマンス。これがめちゃんこ愛おしいニヤニヤして、かつ切なくて泣ける。めちゃいいわこれ。

アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」って、最後は泣けたけどハッピーエンド至上主義者の僕はなんとも言えない味気なさがあったんですよね。「はじまりのにいな」はアニメ「あの花」のめんまが生まれ変わって、社会人になったじんたんの元に現れるみたなグッとくる設定。

で、新菜は10歳で篤朗は25歳。
前世の恋人と言っても、知っているのは新菜だけで向こうからしたら初対面。そして立ちはだかる10歳の年の差。どうにも噛み合いません。

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どうにも噛み合わない

そしてまた篤朗を惚れさせる新菜の頑張りがすげぇ可愛い。
生前の恋人と再会し、記憶も思い出もあるのに本当の事は言えない。篤朗に気づいて欲しいんだけど、今の「新菜」という自分を否定したくない。いつも篤朗の中にいるのは生前の自分。このジレンマの届かない恋っぷりが切ない。でも少しずつ心が開かれていく描写はグッとくる。

また、勇気を出して10歳で告白するシーンは屈指の名シーンすぎるというもの。私は今度こそあなたと幸せになりたいと決意し「好きです。付き合って下さい」「ごめんなさい。俺には10年間ずっと好きな人がいます」と、10歳児の告白に本気で答える篤朗。しょうがない、また片想いから始めましょう

もう直向きな新菜が可愛すぎるに尽きる。
またグッとくるといえば、前世の約束を果たすのは胸熱すぎる。中3の春、隣町の湖に花見に行った時に交わした冬になったらまた来るという約束。その約束は果たせず千歳に冬が来る事はなかったけど、10年後に新菜が果たすのは屈指の名シーンではないでしょうか。

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前世の約束果たす

本当に新菜は可愛くて良い子です。
まっすぐさは読んでてホッコリしてしまいます。そして時は経過して6年後。新菜は16歳になりました。唐突っちゃ唐突ですけど、元々「はじまりのにいな」は1巻完結作品で1巻で完成しているんですよね。ラストは目頭と胸が熱くなるというもの。とにかく1巻は半端ない面白さでした。

2巻では北海道に引っ越した新菜。
篤朗とは離ればなれになりましたが、これまた泣ける。2巻では前世・千歳の家族にスポットが当たっており心温まる感動作品でした。新しくやってきた担任が前世の弟。偶然前世の弟が担任教師と教え子として再会。そこから前世の家族と触れ合うようになって…。篤朗だけでなく、前世の家族も千歳が死んでしまった事で心にどこか穴が開いていた。

こんなに切なく、身近な生まれ変わり。めがっさ感動しました。
「さよなら千歳。」と、前世と決別するシーンはグッときます。

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前世と決別

今日初めて私は新菜(わたし)になれたかもしれない

青八木新菜として生まれ育って暮らした家族、前世の千歳として一緒に暮らした家族。どちらも絆が深くて大切な存在。でも、新菜として生きると決めたし千歳はもう亡くなっている。悩み葛藤する新菜がまじ泣ける。自分が「千歳」だと言えたらいいけど、言えないこのジレンマ。

ホッコリ愛しく温かい気持ちにさせてくれます。
「はじまりのにいな」超お勧め。


はじまりのにいな (花とゆめCOMICS)
水森暦
白泉社 (2011-07-20)