基本的に女子高生3人がだべるだけの日常系漫画。でそれが笑えるのだから凄いですね。テンポ良く、炸裂する突っ込みに笑う事もしばしば。おバカな主人公・まつりを中心とし、突っ込み係の幼馴染に天然メガネっ娘。もちろん萌え系4コマのようなものでなく、萌えなど捨ててるのも良い。ほのかな百合臭もグッド。

さて、「すきなひと」2巻が発売されました。

すきなひと 2 (楽園コミックス) すきなひと 1

これにて完結。まず帯がいいっすね。

1巻の帯「眼鏡+女の子=最強
2巻の帯「眼鏡+女の子=絶対

「眼鏡+女の子」は最強で絶対なのである。
日坂水柯先生は眼鏡っ娘に対する拘りはホンモノです。なんというのかな、眼鏡っ娘ってのは昔から一定数の需要があるじゃないですか。だから女の子わんさかいたら1人はとりあえず眼鏡かけてみました…みたいなキャラが量産されています。そうではなく、本物の眼鏡っ娘を描くのが日坂先生なのです。
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「すきなひと」眼鏡っ娘の真髄

「すきなひと」のストーリーを簡単に説明しますと…。
離婚後に妹・亜純と同居して暮らす姉・鏡子。現在は大学時代の同級生・城田とが体だけの関係である。ちなみに、城田は大学時代から鏡子さんに想いを寄せている…というもの。

雰囲気が独特で凄く好きなんですよね。静かというか、マッタリとした空気というか。なんともいえなエロスがあります。なのに妙に清涼感あるんです。何言ってるか分かんないかもしれませんけど、いやらしくないエロスとでも言うべきか。健全なエロスとでもいうべきか。

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鏡子さんと城田

鏡子さんと城田がセックスしてても特にいやらしさは感じません。セックス中の心理描写がしっかりしている為なのかもしれません。体だけでなく心も描くセックスというべきか。切ない感じがなんとも言えません。

今まで切ない心理描写のセックスばかりだった2人。城田との事中を亜純に見られて付き合ってる事にすればいいと思うも「居える訳がない。でも『居えない』ってこんなに苦しいもんだっけ?」と苦しみ鏡子さん。城田は城田で体だけの関係に苦しむ心理描写。両者の苦しいって感じが切なくていいですね。

そんな2人が体だけでなく心も結ばれるのだから、思わずほくそ笑んでしまうというもの。最中に思わず「すきだよ」と告ってしまう城田。鏡子さんもビックリです。それでも「…うん」と返事して抱きしめたのは心の中でガッツポーズを取らざるを得ません。

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…うん

また、その後の鏡子さんのは反応が初々しいのなんのって。照れて赤面する姿に思わず頬を緩めてニヤニヤしてしまうというもの。大人の女性的な魅力がウリだったのに、女子高生の亜純以上に乙女しちゃっていました

「すきなひと」はメインとして鏡子さんと城田の恋愛ですけど、妹・亜純の存在も外せません。城田に片想いしてた感じといい、寝ぼけてお姉ちゃんのおっぱい吸うなどいいアクセントになって存在感がありました。そんな亜純も同級生の女の子と百合的な雰囲気で結ばれ(?)てニッコリ大満足でした。

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亜純

なにこれめがっさ可愛いな。
亜純は普段は無表情のクール系美少女だったので、赤面顔はギャップもあいまって信じられないぐらいの破壊力でした。

また姉・鏡子さんの「…うん」と亜純の「…ウン」と平仮名表記とカタカナ表記。「すきなひと」の作中では色々と重なるというか彷彿させるシーンがあるんですが微妙に違うところがいいですね。特に如実なのは漢字で「好き」と平仮名の「すき」。城田はひらがなで「すき」と告白し、鏡子さんは漢字で「好き」と。同じ「すき」なのにだいぶ印象が違いますね。

友達の「すき」から恋愛の「すき」まで、様々な意味で「すき」だと述べられた「すきなひと」。回り道ししたり、切なくなったけど大団円で大満足でした。同時収録の短編も良い眼鏡でした。日坂先生の眼鏡は物語上に意味があるのが素晴らしいですね。亜純の眼鏡っ娘っぷりは完璧です。「眼鏡+女の子=最強=絶対=完璧」という方程式が証明されます。


すきなひと 1
すきなひと 1
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日坂 水柯
白泉社