GWですね。
せっかくの長期休みなので漫画を読んで過ごすというのもオツではないでしょうか。何か新しい漫画に手を出そうとしても、何巻も発売されている漫画はなかなか手を出しにくいと思います。そこで、まだ1巻しか発売されてない上で今後ブレイク必至(と思う)の漫画を紹介しようか、と。

大半がまだストーリーの核心に触れていないので正確には面白い漫画というよりは「今後面白くなるだろう作品」であります。とはいえ、まだストーリーの序盤なのにグイグイ読ませられて引き込まれてしまいます。

<ベアゲルター/沙村広明 >

ベアゲルター(1) (シリウスKC)
沙村 広明
講談社 (2013-02-22)

エロとバイオレンスをこれでもかと盛ってくる。「3匹の獣(メス)が牙を剥き合う…おんなの修羅場!」というキャッチコピーの元、3人の女が痛快なアクションを見せてくれる。ヤクザだ殺し屋だと3つ(?)の勢力が石婚島に終結する。本当に魅せてくれる。

まだまだ全貌は謎だらけです。バックボーンがまるで見えない導入部分なんだけど流石は沙村先生である。グイグイ読まされてしまいます。続きが楽しみすぎるというものであります。相変わらず沙村先生の描く女はフィティッシュにエロい。読了後に、ただただ凄いと溜息が出る。確実に面白くなる、名作になると断言しよう。

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<スピリットサークル/水上悟志 >


「惑星のさみだれ」の水上先生のアワーズでの新作は輪廻転生もの。中二の主人公・フータは、ある日転校生の石神鉱子と出会い…というもの。「さみだれ」でも輪廻転生はあったけど、こちらはそれを主軸に据えて描く。7つの前世があるようで、ガッツリと重厚な設定が読み応え抜群であります。

1巻では2つの前世を体験する。2つの前世、いや3つの前世で会っている宿命とも運命とも言える鉱子との関係が気になる。人と人の繋がりが素晴らしい。難しいテーマであるが、非常に分かりやすく描かれている。また水上作品で一番好きなテーマは少年の成長なので、そこをどう描くか楽しみで仕方がありません。

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<重版出来/松田奈緒子 >

重版出来! 1 (ビッグ コミックス)
松田 奈緒子
小学館 (2013-03-29)

新米編集者のリアル漫画奮闘記。1つの漫画がヒットするまでのドキュメンタリー「売らん哉!(松)(竹)(梅)」の三話は傑作で痛快であります。とはいえ、他のエピソードもこれがなかなかどうして。第三話「Do The Right Thing!正しい行いをせよ!」は興都館の社長の仕事観というか運に対する話なんですけど心に刺さる。登場人物が多いんですけど、そのキャラ1人1人に過去や仕事に対する価値観や人生観が上手く描かれている。つまりキャラが魅力的なんです。

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<亜人/原作:三浦追儺、漫画:桜井亜門 >

亜人(1) (アフタヌーンKC)
桜井 画門
講談社 (2013-03-07)

まれに人類の中に現れる未知の新人種「亜人」。亜人は決して死なず、謎の能力が秘められている。主人公・永井圭は交通事故に遭って即死。でも死ななかった、生き返った。そして自分が亜人である事を知り、全人類を相手にした逃避行が開始される。

亜人とは何なのか、どのような能力があるのか。まだまだ謎だらけなんですが1巻の段階でページを捲るのが止まらなくなります。テンポ良く引きも良い。既にブレイクしている気配がありますが今後の展開が本当に気になる。設定や背景だけでドキワクできます。すさまじ掴みです。

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<僕だけがいない街/三部けい >

僕だけがいない街 (1) (カドカワコミックス・エース)
三部 けい
角川書店(角川グループパブリッシング) (2013-01-25)

「再上映(リバイバル)」と主人公は呼ぶが明らかに時が巻き戻る。この時が巻き戻る不可思議な現象が起こる青年・藤沼悟が過去に起きた出来事と向かい合い…というもの。「タイムスリップ」と「ミステリー」の塩梅が物語のシナリオを重厚にしてストーリーにのめり込みます。

「同級生の少女の死」「連続誘拐殺人事件」「救えなかった友人」「犯人の正体…」。まだ1巻はプロローグでありますが、様々な伏線や謎が散りばめられており一気に読了してしまいます。過去の記憶と現在がリンクし、1巻ラストの衝撃展開。先が気になる。

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<ディアボロのスープ/岡崎純平 >


大国と小国の戦争もの。近代兵器と魔法が交差する。大国は近代兵器で次々と虐殺していくのに対して、小国は魔女が戦力なんだけどまるで歯がたたない。そこで罪人を開放して戦略と知恵で盛り返すという。設定と世界観がなかなかどうして。最初の絶望感が半端じゃないです。魔女たちのキャラも掘り下げられて描かれグッド。伏線や謎がまだまだある中で今後どうやって明かされていくか。

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<千年万年りんごの子/田中相 >

千年万年りんごの子(1) (KCx(ITAN))
田中 相
講談社 (2012-07-06)

短編集「地上はポケットの中の庭」の評価が高い田中相先生の初連載作品。りんごが盛んの雪国に婿入りした雪之丞。北国で家族と過ごす中で何かが変わっていく。そして冬、妻の朝日熱で倒れた日に事件は起こる。道中で見つけた林檎の木から林檎を取り、それを摩り下ろす朝日に食べされば…。その林檎は、食べてはならぬと村に伝わる禁忌があった。

林檎を食べた朝日に変化が起きる。どうもその林檎を食べると福を呼ぶ変わりに、生贄的な犠牲を払わなくてはいけないようで。まだ1巻でこれから物語は少しずつ語られるんでしょうけど、今後絶対に面白くなる臭いがプンプンします。しかし、田中相先生の描く自然は素晴らしいな。

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<放課後のトラットリア/原作:橙乃ままれ、 漫画:水口鷹志>

放課後のトラットリア 1 (メテオCOMICS)
水口鷹志 橙乃ままれ
ほるぷ出版

なにこれメチャクチャ面白い!
「まおゆう魔王勇者」の橙乃ままれ先生原作で料理研究部の所属する4人の女子高生がファンタジーな異世界へ飛ばされてしまし、そこで料理を駆使して活躍するという話。設定だけなら「信長のシェフ」に近いかな。主人公は女子高生である。勇者でも魔王でもないので政治論や軍事論も関係ない。とはいえ、料理一つで余波が都市へ広がる様は興味深いです。料理から経済や政治に話が広がる感じ。面白い。

4人の女子高生がキャラ立っており可愛い(これ重要)。「料理」から、やがて世界を揺るがす物語が重厚であります。漫画本編の後に短編小説があるんですけど、それがめちゃくちゃ面白い。小説読んだ後に本編を読み返すと味わい深くなる。お勧め。

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女子高生たちの異世界料理綺譚「放課後のトラットリア」1巻

<バイオーグ・トリニティ/大暮維人×舞城王太朗 >


超かっこいい!超燃える!
ウルジャン公式サイトで1話読めるんだけど、1話を読んでもピンとは来ないだろう。「バイオーグ・トリニティ」は1巻まるまる読破してこそである。1巻使った序章という感じなんだけど、この疾走感と燃える展開はすごいよ!

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「バイオーグ・トリニティ」超かっけぇぇぇぇぇ!!
以上。
まだ1巻までしか発売されておらず、そもそも面白いとか名作とか評価する段階ではないでしょうけど、1巻の段階でグイグイ物語に引き込まれます。まだ謎や伏線を散りばめている序章なのに、世界観や物語の背景などしっかり作られている感じ。面白い(orこれからなるはず)です! 手を出すには丁度いいのではないか、と。