想いの欠片 2 想いの欠片 1

初めて好きになったのは一番苦手な女(ひと)でした。
「想いの欠片」2巻が発売されました。私は所謂、百合というとお菓子のようなふんわりとした甘々なものを思い浮かべるんですけど「想いの欠片」はそんなイメージを(いい意味で)真っ向から粉砕してくれます。まさに切ない恋愛をストレートに堪能できます。
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「想いの欠片」痛くて、おもしろい。そして、せつない

恋をする上での「痛み」とか「苦悩」を描くんだけど、そのシーンの感情表現がリアルというか妙に胸に突き刺さる。2巻の見所はサキであろう。マユの親友にしてマユを密かに想うメガネっ娘である。マユに想いを寄せる心理描写がなかなかどうして。

7
サキ

『違う…偶然なんかじゃない…』
『女のあたしが女のマユを好きになったのは必然だ』


マユが好きになったのがたまたま同性だっただけという言葉を聞いた時の心情である。昔馴染みのでマユに密かに想いを寄せていただけに、なんともズシリときます。「想いの欠片」は群像劇で、1話毎に主人公が変わるんだけど、サキの視点で語られる6話と9話は「痛さ」「刹那さ」「苦しさ」がトリプルで通常の3割増しであります。

サキが醸し出す「緊張感」が半端ない。
ミカさんと対峙した時なんて、そこらのバトル漫画よりもヒリヒリした緊張感を生み出してましたよ。特に全てを見抜かれた時の「悔しい…」と感じて思わず宣戦布告(?)をしちゃうのもあっさりとかわされた時の表情なんてね、ゾクゾクしちゃいます

一言でサキを言ってしまうと「かわいそうな娘だな」というもの。
特に9話のマユちゃんが傷ついたら全力で慰めてあげるとか言った後の自宅で1人の寂しそうなシーンがヤバイぐらいに悲壮感溢れている

8
悲壮すぎる

『あたしが傷ついたら』
『誰が慰めてくれるの―…?』



9

思わず界王様も目を背けたくなるレベルで見ちゃおれん状態ですよ。

報われない可哀相な娘のオーラとどす黒いオーラが半端ない。サキの劣等感と嫉妬っぷりの描写がリアルで胸に痛い。なぜか無性に共感してしまう。なんつーの、現代の荒波で生活する僕にとっては、感情を抑えるのが日常茶飯事なわけで、この自分の感情を抑えのは分からないでもない。しかし、これソウルジェムが濁るんだよね。いつか暴発して魔女化しないか心配である。

親友でもいいと思ってたけど今は違う。でもまだ想いを伝えるのは早いと自己完結する感情の起伏が切ないぜ。というかミカさんと似た者同士だよね。勝手に自己完結するところとか。どこか一線を引くというか冷めてるところが。その一方でいい意味で別種なのがマユちゃんである。作中の人間関係のスパイスになっているとうか動かすというか掻き乱すというか。

10
マユちゃん

すさまじい行動力である。
思わずミカさんをストーカーしたりと、その突撃娘っぷりは一際存在感があります。「痛さ」「刹那さ」「苦しさ」とは一線を画すキャラクターで、その行動は僕の心の琴線に触れてきます。マユちゃんは一種のオアシスのような癒し効果がある。

また、本編とは別にマスターの過去話があるんですけど、こちらも「痛さ」「刹那さ」「苦しさ」が半端ない。人間の黒い感情がとにかくヤバイです。マスターの「恋なんてやろうと思って始めるもんでもないでしょ?気付いた時にはおちてるものよ」は珠玉の名言なんだけど、これに至った経緯が気になります。あと、「想いの欠片」で最も恋する乙女なのはマユちゃんの兄・原田である事は疑いようのない事実である。まる。

想いの欠片 2
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竹宮 ジン
白泉社

想いの欠片 1
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