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「ひとりぼっちの地球侵略」なにもしてない?バーカ…生きてるべや。
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2012年07月30日
「ひとりぼっちの地球侵略」1巻が発売されました。
ゲッサンで「とある飛行士への追憶」のコミカライズをしたいた小川麻衣子先生のオリジナル新作です。期待通りの面白さです。絵柄の印象でほのぼのとした雰囲気で、女の子の可愛さは外せません。
この春、高校に修学した主人公・広瀬岬一。
高校ではさっそくハートフルで甘酸っぱい出会いがあった。
ハートフルな出会い
2年生の大鳥希。ひょんなことから入学早々、追いかけっこをしたり、胸に手を当てられるなどドッキドキイベントが満載である。ちょっと変わり者の希は岬一を運命の相手を見つけたように指さし優しく呟く。「お前の命を、もらいに来た」…て、えぇぇ!?聞き間違いだろうか。そして笑顔で「私の仲間になってよ!」「この地球を征服するのよ!」、と。
何を言ってるのか分からない。
付き合ってられないと帰る岬一。その日の夜、見た事もない生物がじいちゃんを飲み込んでしまった。そして、彼女は何一つ表情を変えず、涼しい顔でやって来た。
二人で一緒にこの星を征服しましょう!
「二人で一緒にこの星を征服しましょう!」
「だってあなたは私の心臓を持っているんだもの!これはきっと宇宙であなただけしかできないこと。特別なの!ねけ、私の仲間になってちょうだい。きっと楽しいし、とても素敵なことに違いないわ!」
仲間になればじいちゃんを助けてくれる。
だから岬一は「分かった。仲間になる」と最悪でムカつきながら了承する。なんでも、岬一の心臓は子供の頃に宇宙人の希の心臓を移植していたとか。こうして始まった2人ぼっちの地球侵略。
ほのぼのした絵柄でありながら、結構心に刺さる展開、グロさや痛さのマッチングがグッドです。ほのぼの雰囲気で痛かったら切なかったりする。なんといっても、けっこうグロい。
なんといっても地球侵略をするのに何をするかといえば何もしない事。
征服?
世界征服を一緒にすると言った岬一は具体的にどうするのかと聞けば、「本…読んどく?」と読書をすることに。次の日も次の日も読書…。特に何もしない!1巻で描かれるのは、岬一のいつもの学校風景の日常である。地球征服よりも二人の関係構築、甘酸っぱいボーイ・ミーツ・ガールという感じ。
宇宙人との戦闘もあるものの、日常を丁寧に描く。これが実に良い。宇宙人は別に攻めて来ないから、まったりと2人の絆を深めていく。ところがどっこい、希は岬一に知られないように、隠れて戦っていたっていうね。
隠れて戦ってた!
希は「最近広瀬君と過ごすようになって毎日が楽しい。今までこんなことなかったもの、壊したくなかっただけ…」という台詞がグッとくるよね。希はずっと1人であった事が2話で述べられるんだけど、そのお蔭で岬一と過ごすなんてことない日常がいかに大切だったか分かる。
タイトル「ひとりぼっちの地球侵略」というのは藤子・F・不二雄先生の伝説の短編「ひとりぼっちの宇宙戦争」からきてるのだと思いますが、全然違うね。「ひとりぼっちの宇宙戦争」は本当に1人で人知れず地球を救ったけど、「ひとりぼっちの地球侵略」は1人じゃない。
岬一「お前はもうひとりぼっちじゃないんだ!」
グッとくる。
タイトルに偽りあるんじゃないかという気もするけど、2人は一心同体的な側面もあるのでなんともいえん。「ひとりぼっちの地球侵略」を読んで真っ先に思い出すのは「最終兵器彼女」だろうか。ほのぼのした雰囲気の中のグロさとか痛さっも似てるし、2つの世界観ってのが思い出す。岬一は変わらずほのぼのした日常を過ごすという世界観がある。一方で、希は宇宙人と闘う非日常がある。
ほのぼのニマニマする日常。
殺伐とした殺し合いをしてる非日常。
2つの世界観の混同っぷりよ。主人公の岬一は宇宙人同士の殺し合いに首を突っ込まい、突っ込めない(今のとこ)というのも「最終兵器彼女」を彷彿させる。また、心理描写の説得力。これが本当に胸熱である。
心理描写がすごくいい
希の一緒にいられる相手を探してた、目的なんかなくてもずっと一緒にいられるいてもいい存在。それが自分…という流れの心情は説得力有り、思わずその通りとうんうん頷いくレベル。そして恥ずかしなった岬一の行動は、ほっこりしてニヤニヤである。
なによりも、希の可愛さに尽きる。
孤高の侵略者が信じると言われて号泣、1人でないと言われまた号泣。希の泣き顔の可愛さは五臓六腑に響くで!
希の泣く姿はいい
希の涙は僕の心の琴線を鷲掴みにされる。
宇宙人達の地球侵略、心臓移植、子供の事のあやふやな記憶、少し不思議なSF、いわゆるセカイ系…「ひとりぼっちの地球侵略」は様々な観点から楽しみで風呂敷の広がりも期待できる。エグい内容でもホッコリさせてくれる。
個人的な意見ですけど、「ひとりぼっちの地球侵略」は突き詰めれば甘く切ないボーイ・ミーツ・ガールに収束する。今まで1人ぼっちな少女が、少年と出会い1人でなく2人になった、それはそれは心温まる物語である、と。お勧めです。
ひとりぼっちの地球侵略 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
posted with amazlet at 12.07.28
小川 麻衣子
小学館 (2012-07-12)
小学館 (2012-07-12)