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「この果実は誰のもの」切なさと青春っぷりがグッとくるね
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2012年06月28日
仙石寛子先生の「この果実は誰のもの」が発売されました。
収録作品は表題作「この果実は誰のもの」を筆頭に、「うなじ」「その未来に花」「ぜひ、今年の抱負に」「桜の頭 あなたは」「ハルハル卒業」「僕と君と」「私のいい子達」「今度、は またいつか」「明るい恋の花」「お嫁さん欲しい」「三日月の蜜 特別編」と読み応え抜群である。特に前作「三日月の蜜」のアフターストーリーが掲載されているのは嬉しいですね。
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やはり表題作「この果実は誰のもの」がグッときます。
全8話+特別編から構成されており、4コマ漫画ではあるものの「起承転結」など存在しない4コマ漫画の皮をかぶったストーリー漫画である。「背伸びして情熱」「三日月の蜜」同様に、「この果実は誰のもの」も素晴らしいものでした。
この果実は誰のもの
「次、好きになるなら」
「男の子がいいなって思ってたの」
話はのっけから告白しOKを貰うところから始まる。
合唱部の瀬谷にダメもとで告白したら「…いいよ」「次、好きになるなら男の子がいいなって思ってたの」「だからいいよ」と意味深な事をサラッと言いつつも告白が成功した。でも瀬谷には複雑な理由があったのである。
複雑な理由
瀬谷さんの元恋人は同性で未だに忘れられないっていうね。
つまるところ、女の先輩と別れたヒロイン・瀬谷さんが別れた直後にそれを引きずっている中で、告白してきた主人公・矢川にOKして…というもの。 瀬谷さんと先輩が別れた理由が"女同士だから"という。まあ、これが僕の心の琴線に触れまくるってわけですよ。
仙石作品は独特の表現と繊細なタッチでグイグイ引き込まれます。特に心情を描くのが上手過ぎる。キャラの心の機微がすごく分かりやすくなっており、その時の瀬谷さんと矢川の気持ちや揺れる心がガンガン伝わってくる。そしてやっぱり、切なさが半端ない。
心情が分かりやすく切なさがヤバイ
思春期特有の甘酢っぱさと切なさが何ともいえません。
また、瀬谷さんが可愛いんだ。前に付き合っていた同性の先輩が今でも好きなんだけど、段々と矢川に惹かれている様子がグッときます。
先輩に迫られてしまうけど、今は矢川がいるから…ってとこの瀬谷さんの心情とか表情が僕の心の琴線を鷲掴みにしやがる。でも、客観的に見れば瀬谷さんマジ小悪魔っていうね。ぶっちゃけ先輩も矢川も瀬谷さんに振り回されまくっている。でも、この小悪魔的なとこもが可愛いんだ。
瀬谷さんマジ小悪魔
「私、浮気とかできるかもしれなんだ」とサラッと述べたかと思えば、矢川が「なら俺だって、そのうち他に好きな子できるかもよ?」と切り返せば泣き出す瀬谷さん。なんすか、このド天然な小悪魔っぷりは!これじゃ矢川じゃなくたってハートを盗まれちゃうね。
と思えば、先輩にちょっかい出されて矢川と付き合ってるからと拒否するものの、ごく自然に「私、先輩のこと今でも好きです」とか言い出しちゃうわけですよ。なんなの、瀬谷さんの魔性の女っぷりは!これじゃ先輩じゃなくても気になって心を揺さぶられちゃうよね。
瀬谷さんマジ天然魔性の女!
仙石作品は4コマ漫画の形態でも、まったく4コマ漫画でないのが特徴的ではるものの。4コマ漫画の形だからこそ、いいというのもある。それが「間」の取り方。この内容ならストーリー漫画でやってもと思うんだけど、4コマ漫画とういう形式だからこそ光る「間」を描くのである。
絶妙の「間」であえる
表情や心情で「間」を描くんだけど、それが実に味わい深い。
切ない表情、驚く表情、ニコって笑う表情…漫画の形式上では省略しても構わないコマなんだけど、それをあえて描くからこそ味が出まくる。「好き」と素直に言えない瀬谷さんの可愛さがいいんだ。
基本的に仙石漫画は、読むとザワザワさせられるっていうか心がえぐられる。精神に訴えてくるものがある恋愛漫画なんですよね。でも、それがいちいちツボなんだ。表題作だけでなく、短いショート短編でも、たまにグサリと心に突き刺さる。一つ残念だとすれば、今作「この果実は誰のも」には実の姉弟ものがなかったことかな。でも、切なくグサッとくるヤキモキする珠玉の短編集でした(褒めてます)。お勧めです。
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