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「じゅういちぶんのいち」、サッカー漫画じゃないし、じゃあなんなの、人生…かな?
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2014年03月21日
「じゅういちぶんのいち」8巻が発売されました。
4月から実写映画化、小説化とメディアミックスでこれから波に乗るってところですが、次の9巻で完結してしまいます。これについては8巻の後書きで中村先生は以下のように綴っています。
この『じゅういちぶんのいち』、次巻で最終巻になります。色んなメディアミックスが決まり、作品として盛り上がってきたところでバシッと終わることができ、作者としては非常に嬉しい限りです。もちろん寂しい気持ちも少しはありますが…本当に理想に近い形で『じゅういちぶんのいち』の幕を閉じれるんじゃないかな、と思っています。
映画化決まってこれからってところでバシッと終わらせるとか流石である。もっと見たいよね。ソラのサッカー人生を。何度でも言おう。「じゅういちぶんのいち」は本当に良い漫画である、と。
<関連>
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先日発売した8巻では、時系列戻って高校時代の先輩後輩のグッとくる話を描く一方で、既にベテランと化した安藤ソラの円熟期のエピソードが収録されています。やはりね、この作品は素晴らしい。「じゅういちぶんのいち」は一見するとサッカー漫画なんですけど、カテコライズすればサッカー漫画ではない。サッカー漫画じゃなかったらなんなのよ?と聞かれればこう答えよう!
人生…かな?
「じゅういちぶんのいち」は人生である
誰の人生かっつったら安藤ソラのだよね。
中学時代のソラっつったら天才ドリブラーだったけど、1人でサッカーして壁にぶつかってもがき苦しんでましたしね。そんなソラの前で現れたのが、若宮四季である。若宮四季と出会いソラは「サッカーは一人でやるものじゃない」と気付き、ソラの物語は始まったわけである。
この1話を彷彿させるのが8巻収録の24&25話の「椎名千聖(前半)(後半)」でしょう。椎名は強豪校から転入してきた個人技がずば抜けた天才ドリブラー。しかし、パスをしないので本物の強豪DFにマークされれば、何も出来なくなる。まさに中学時代のソラそのもの。
絶望するソラの図(1話) / 絶望する椎名の図(24話)
完全に一致!
24~25話は1話を読み返した上で読むとまた違った感情があるよね。ソラ同様に、個人技一辺倒だった椎名であるが彼も変わっていくのである。ソラが若宮四季に出会ったように、椎名は3話の主役だった越川凛哉に出会う事で変わっていくのです。
「じゅういちぶんのいち」はオムニバス作品としても一つの完成形であるといえますね。ぶっちゃけ、「じゅういちぶんのいち」は1巻さえ読んだら後はどの巻読んでもいいっつー作りになっている。どこから読んでも1~2話完結の短編もの本当に泣けます。感動します。金太郎飴じゃないけど、どっから読んでも胸が熱くなるわけです。
でも、オムニバス形式として以前に登場した人物が再登場するのも熱いわけよ。しかも自然にね。別に3話を読んでいなくても24~25話は胸を打つ話となっています。でも、3話を読んでるとさらにグッとくるっていうね。以前出たあいつが成長してどう変わったかという見方もできるしね。
で、24~25話「椎名千聖」は、あのカッコつけマン越川が泥臭くなる事を選択し、以前のソラを彷彿させる自己中マンの椎名を劇的に変える役どころになってるエピソードですよ。もう最高ですね。胸熱ですね。椎名が体を張って他人の為に献身的なプレーをするようになるところなんて胸が熱くなりまくるよね。
敵DFの進路を体を預けて止める献身的なプレーをする椎名
「おまえが決めろ!越川!!」
ブルっとくるね。
ぶっちゃければ「じゅういちぶんのいち」という作品はサッカーなんて刺し身のツマみたいなものです。スポットが当たるキャラの「生き様」を描くのでサッカー描写なんてオマケみたいなものなんですよね。ヒューマンドラマを描く。だからサッカー選手以外のマネージャーとか絵が上手いデブとかにスポットが当たるし、どいつもこいつも最高に輝く。胸が熱くなる。目頭が熱くなる。
だけど次が最終巻。
作者の力量も上がって、サッカーシーンそのものもかなり熱くなってきている。8巻のキモは当然26話「佐川遼馬(前編)」である。サッカー選手としてベテランを迎え日本に戻ってきたソラ。衰えたベテランと若い波にも調子にも乗ってる選手の最高に燃える展開。
選手交代!背番号28、安藤ソラ
鳥肌が立つ。震える。武者震いするよね。
「じゅういちぶんのいち」は泣ける漫画の代名詞だったけど、ここにきてクソ熱い展開にまでなるっていうね。泣けて熱いとか素晴らしい。素晴らしいぞ!
引退もチラつく年齢を迎え衰え、怪我でボロボロとなったソラ。
彼が魅せるプレーとはどのようなものなのか。生殺しのように続く。まあ、私はSQ本誌を読んでるので先を知ってるんですけど、あえて言おう。最高である、と!
ソラとその周辺の生き様を描く「じゅういちぶんのいち」。誰もがサッカーにおける十一分の一という生き様を見せてくれました。そして終盤はソラを中心に物語が動く。やはり主人公である。「じゅういちぶんのいち」は人間ドラマを描き最高に泣ける作品ですけど、気になるのはサブタイトルだよね。2話「篠森仁奈」、3話「越川凛哉」、4話「神崎真臣」、5話「水野由花」、6話「山中寛太」…というように基本1~2話完結のオムニバスで主役を張るキャラの名前がサブタイトルになっている。
ここでもう一度、1話のサブタイトルを見てみよう。
1話、若宮四季
いまだ主人公、安藤ソラのタイトル無し。
もうお分かりだろう。最期は絶対に「安藤ソラ」というタイトルが付くだろうことは。中学生だったソラも、今や引退間近で、結婚もしてしまった。1人のキャラの人生を様々な登場人物の角度で見てきたのも、次の巻がラストか。最期に最高の人生が描かれるのだろうか。「安藤ソラ」のサブタイで。今からドキワクです。
「じゅういちぶんのいち」は超おすすめですね。
今一番泣ける漫画です。今では忘れてしまった「何か」を思い出させてくれます。そこのあなた、何か大切なものをお忘れではないですか?「じゅういちぶんのいち」を未読なら是非読んでみてください。きっと思い出します。
しかも、なんと今なら7巻までkindleで368円という32%offである。未読なら人生の半分は損してると言っても過言じゃない。ガチで涙腺崩壊する漫画を一気読みはどうでしょう。本当に涙流さずに読むことは不可能なので是非読んでみて欲しい作品です。
1/11 じゅういちぶんのいち(8) 小説版「1/11 じゅういちぶんのいち 行く春」 著者:中村尚儁 Kindle版1巻:「じゅういちぶんのいち」(1) Kindle版2巻:「じゅういちぶんのいち」(2) Kindle版3巻:「じゅういちぶんのいち」(3) Kindle版4巻:「じゅういちぶんのいち」(4) Kindle版5巻「じゅういちぶんのいち」(5) Kindle版6巻:「じゅういちぶんのいち」(6) Kindle版7巻:「じゅういちぶんのいち」(7) |