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「テンペスト」男が滅んだ世界で生まれた1人きりの少年
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2011年09月04日
凄い漫画だ!(挨拶)
帯に書かれているコメントがとにかく印象的です。「Y染色体消失。男子、滅亡」。男子滅亡ってどういう事なんだってばよ!
裏表紙の説明は以下のようなもの。
この世界で<男>とは、もはや幻の化物
西暦2012年、太陽系に発生した磁気嵐群の影響で、地球上のヒト科のY染色体は絶滅。残された人類は、卵子同士での生殖に成功。地球は女だけの新たな世界に生まれ変わった。だが、運命の西暦3992年。安斎・Y・姫、誕生。<彼>は、世界にたったひとりの男性となった―。
西暦2012年、太陽系に発生した磁気嵐群の影響で、地球上のヒト科のY染色体は絶滅。残された人類は、卵子同士での生殖に成功。地球は女だけの新たな世界に生まれ変わった。だが、運命の西暦3992年。安斎・Y・姫、誕生。<彼>は、世界にたったひとりの男性となった―。
人類が女だけになった地球で生まれた世界で1人きりの男・姫。
姫は社会の中で自分が男である事を隠して生活しており、男であるもののいつも女の子の格好をしています。つまり男の娘。
姫(♂)
偉い可愛いな、おい!
世界で1人だけの男の子が、最も乙女チックで可愛い。もっとも可愛く乙女なのが世界でただ1人の男。そして最も女としてモテモテ。何よりも阿仁谷ユイジ先生の描く表情は良いな。活き活きと輝いてる。
もうね、設定だけでワクワク感が半端ない。SF漫画で、地球上に男が滅んで男は1人しかないない世界って…僕の理想する世界ですよ。だって男が1人しかいないって事は、もうモテモテのハーレムが約束されたようなものじゃないですか!
ところがどっこい!
「テンペスト」は、そんな男なら誰もが夢見る桃源郷を超シビアに残酷に描くのです。甘々な展開を期待したらいい意味で裏切られてしまいました。
性別に苦悩
自分だけが体の造りが違う事を悩み葛藤する様子が生々しく描かれてます。女性だけの世界で男が1人ならハーレム展開でうはうはになりそうなものですが、男で苦悩するのに説得力がある設定なのが凄い。
僕は結構な設定厨なので、その作品の細部まできちんと設定した架空世界には心の琴線を鷲掴みにされます。「テンペスト」の設定の造り込みはもうドストライクなのである。
婚姻関係を結んだ女性たちは互いの卵子を体外に取り出し、2つの卵核を結合させたり受精卵を一方の子宮に着床させる。これらの一連の工程を人口的に行うことが現代では「妊娠」とされている
種の行き詰まりを危惧した女性たちは立ち上がった。男性絶滅からわずか20年余りで、重卵受精―「卵子・卵核同士の結合による繁殖」を実用化したのである
種の行き詰まりを危惧した女性たちは立ち上がった。男性絶滅からわずか20年余りで、重卵受精―「卵子・卵核同士の結合による繁殖」を実用化したのである
男がいない世界では、人工的に女性同士の卵子結合させる事を「妊娠」。この設定の上に成り立つ世界観が素晴らしく凝ってるな、と。
国際基準で「出産」は義務付けられ、新日本国の三大義務は「納税、勤労、出産」となっています。架空世界の設定の造り込みがヤバイ。まあ、Y染色体が絶滅したなら植物はどうなのという疑問もありますけど。というか姫は何で突然変異で生まれたんだという。
で、男がいない世界では、種の絶滅を回避する為に女性同士で人工的に妊娠という設定の上に成り立つわけで、姫も両親を「ママ」「お母さん」と呼ぶほど、女同士で恋する百合的な意味で俺得の設定でもあります。女同士の恋愛が普通の世界。
百合的な
男が絶滅しているので女同士の恋愛が当たり前の世界。なんとも百合百合しいですね!しかし、それだけではなく、「出産」が義務付けられているので、女同士の恋愛をする感情出産派と出産義務を果たすだけの合理出産派の2つがあります。本当に凝ってるな。
男など必要ないという固定概念が出来ています。
男なんて
女だけの世界で1人だけ男ならハーレムじゃんと思いつつ、男が不必要だという設定がきちんとあり、もはや男など化物で家畜なのである。むしろ男は虐げられる側ともいえます。
そして姫は自分の体を造り変えたいと思うように。
しかし、SRY遺伝子という男性が男性たりえるための性分化決定因子がないと寿命が短くなり、最短50年で女性消滅が起こり得る…という事になって…。
やばい、面白すぎる。
設定や話が文句無しで素晴らしいの一言。そして姫の葛藤や心の機微がゾクゾクさせられます。一方でヒロイン(?)皇の姫が好きだったけど、正体は男で裏切られたという想い。見所満載で目が離せないんだってばよ!超お勧めです。