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    「からん」完結なんだってばよ。

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    からん(7) <完> (アフタヌーンKC)
    木村 紺
    講談社 (2011-08-23)

    女子柔道の最高傑作になると思っていた「からん」の7巻が発売されました。これが最終巻です。ええ、「からん」も堂々の完結…って、アホか!納得できるか!むしろ、ここから盛り上がるんじゃないかってところで終了。

    7巻ですが、めちゃくちゃ面白いです。いやもう、くちゃくちゃ面白いのです。1年生も交えての対外試合や他校のの合同練習で、それぞれのライバル関係とか実力の程が大体把握でき、ここから団体戦に向けて行くぞってテンションダダ上がりっぱなし。熱いのです。

    特に、熱かったのは京の覚醒ですよ。

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    京覚醒

    これが九条京の柔道―いや、これが九条京!」と、最初に絞め落とされた金春先輩を相手に一本。最終回のエピソードで和解して、これから一致団結して団体戦モードというクソ燃えるテンションになったもの。

    「からん」の女子柔道部の面々は一癖も二癖もあって、これが集まったらどうなるのかというワクテカ感は初期からありました。部活動漫画というのは個性派の集団にどれだけ味があるのかが決め手となるわけで。経験者で実力者の主人公・雅を中心に、素人集団の1年、雑魚とそこそこ強い2年、化物と癒し系の3年…と面子は今後の成長や心情が楽しかったもの。

    部活動漫画の主人公には基本的に2種類います。

    1、ド素人(才能はある)
    2、経験者の強者

    等身大の主人公から入るか、最初からヒーローかという違い。
    どっちも、真っ直ぐ突き進むのが感情移入しまくりますね。

    で、「からん」の雅は中学時代には44 kg以下級で京都2位という実績のある経験者で強者。しかし、どうも雅は主人公らしくない。というか、終始自分が熱血するわけでもなく、常に周りの指導者という立場をとり続けます。読者が主人公目線でシンクロして燃えるという事がありません。

    徹底的にクレバーなのが雅。
    1年VS2・3年の団体勝負でちょっと勝ちに拘る雅を垣間見れました。

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    少しだけ見れた勝負に関する拘り

    あえて萌先輩との対戦を避け団体の星勘定優先。
    普通の主人公なら、強者と試合したいとか思って負けると分かっていてもあえて挑む展開になるもの。

    初期に、萌先輩をわざと挑発して寝技勝負を繰り広げたり、寝技には絶対の自信というか拘りがあるのかと思いきや、結局萌先輩の寝技を強化させるだけだったり。変わりに、そういう拘りを見せたのが金春だったり。

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    譲れない

    金春VS京で、肘つき背負いを拒否して高く投げる背負いに拘ったみたいな、そういう「譲れないモノ」がどうも雅にはない。むしろ、雅が自分の為とか拘った柔道した時こそ「雅の覚醒」と踏んでいたんだけど。でも徹底的にクールというのもそれはそれで面白いけど。

    徹底的にクレバーな頭脳・雅、強者に立ち向かう化物萌、ド素人だけど才能片鱗を見せ覚醒する京、等身大の苦悩など見せるも「譲れないもの」がある熱い金春…。やっぱり、望月女学院柔道は全員揃うと王道スポ根になるよな。だからこそ、団体戦が見たかった。

    あと、「渾身の描き下ろし71P」として本編殆どスポットライトが当たらなかった穂積喫のエピソード。そのエピソードを通して1年部員の心の結束を強くするという心温まる珠玉の話。

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    描き下ろし

    本当に良い話。
    というか改めて読み返すと、彼女は1年部員で唯一の内部進学者であり、初期にあった「内部進学者追試試験でやっと受かった」という殆ど忘れていた伏線が見事に回収されました。やっぱりしっかりとした設定のバッグボーンがあったんだろうなぁ。まだま読みたいエピソードや掘り下げて欲しいキャラがいるんだよなー。

    しかし、諦めない!
    「巨娘」が再開されたとなれば、数年後に「からん」が再開する可能性はあるはず!


    からん(6) (アフタヌーンKC)
    木村 紺
    講談社 (2011-04-22)

    からん(5) (アフタヌーンKC)
    木村 紺
    講談社 (2010-10-22)




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  • 「からん」が地味に面白い件

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    「うみねこのなく頃に」をプレイしているんですが、「それ以外(秀吉、譲治、紗音、熊沢、南條)の全員が、いとこ部屋にいることを認める」って、赤で宣言してしまいましたが、ヱリカ嬢がおもっくそ含まれていない気がするんですが(ヱリカ嬢は廊下にいる)、彼女の存在自体が幻想ってオチかコレは…。まあ続きをプレイしよう。

    さて、地味にアフタヌーンで連載している「からん」が面白いんですが。これは何気に熱いです。


    作者は、「神戸在住(AA)」や「巨娘(AA)」の木村紺先生。はじめ、アフタで連載開始された時は、絵柄が今までと違いすぎて、普通に気付きませんでした。

    んで、これが地味に面白いんですよ。どんな話かといえば、中学時代に京都2位という成績の高瀬雅が、女子高校へ進学した女子柔道の部活動の話。伏線のように、初心者で体格も小さいけど、誰よりも練習して才能がある同級生もおり、これからどうなっていくのが楽しみな感じ。

    んで、現在のところ3巻まで発売されていますが、まだ他校との試合もなく、部活内の出来事が中心。舞台となる、京都のお嬢様高校、望月女学院柔道部は弱小。しかし、キャプテン大石萌だけは、別格の実力者。昨年のインターハイで、2年でありながらベスト4で、今年は優勝候補といわれています。

    中学時代に京都2位という成績の高瀬雅は、既に萌先輩以外は倒し、萌先輩と初めて対峙すれば格の違いを見せつけられてしまいました。

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    萌先輩

    ――強い!!!
    と、あまりの強さに歯が立ちませんでした。そんな感じで、桁違いの実力者の主将と、部内NO2の主人公と、その他といった感じのレベル。

    また、その他の中に、新入生が入部すっるまでは唯一の黒帯で、そこから成長が止まった2年生の先輩と、体格的に小さいけど才能を感じさる負けず嫌いな素人同級生と、部内の面子だけでも個性豊かで楽しみです。

    特に、部活動漫画では主人公以外のキャラが時にドラマを生むもの。「からん」では成長の止まった2年生の金春千成と、負けず嫌いの素人九条京が、今後の要注目キャラな感じ。特に、この二人は色々あって、犬猿のキャラ。乱取りでは、金春先輩が京を、素人なのに絞め落としてしまい、今後に遺恨を残しました。

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    絞め落とす

    うーむ、個性豊かな部活動の面子というのはなかなか興味深い。んで、この「からん」が、今のところ最高に熱い展開になるのは、萌先輩との寝技対決。今まで淡々と進んでいた中で、この寝技対決がいきなり熱い展開で燃えるわけで。立ち技では歯が立たない、今年のインターハイ優勝候補の本命の化物に対して「寝技ならわたしは負けないですけどね」と挑発して、寝技対決をするんですが、これがとにかく熱い。

    そもそも柔道において、立ち技では敵わない相手に、寝技なら勝機があるのかといえば、実際のところは分かりません。しかし、今までの柔道漫画において、立ち技では勝てない相手に、寝技で勝機を見出すという展開は数多くありました。

    例えば、「コータローまかりとおる!」。いつ連載再開されるのかと、今でもマガジン(マガスペ)を読みながら楽しみにしていますが、もう永遠に再開される気配がみえません。「コータローまかりとおる」の柔道編は、他の話に比べて異彩ではありますが、個人的には一番好きな話です。ヒロインの麻由美が大活躍するわけですが、彼女が取った戦法は寝技。麻由美がバンバン寝技で強豪を倒すわけですが、作中で寝技の重要性が語られました。

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    寝技の重要性

    寝技にマグレなし!

    寝技にはマグレがなく実力通りの結果があるということ。この格言は、高専柔道の言葉らしいですが、作中で何度も寝技の重要性が語られました。

    立ち技では勝てなくても、寝技で倒すというのは柔道漫画的には、それはそれで燃える展開です。その最もな例は女子柔道漫画の最高傑作「YAWARA」でも、使われた戦法です。

    1本取らなければ意味がないという猪熊柔道。主人公、柔は桁違いの天才で化物でした。もう天才すぎて、昨年の無差別級覇者(藤堂由貴―後にソウル五輪銀メダリスト)相手に、試合中に「この人―――弱い!」と失礼な事を思う、性格の悪さと圧倒的強さを披露します。

    とにかく、柔は天才すぎて、世界の強豪といえども歯が立たない、チートキャラでした。こんな化物の自称ライバルであった、本阿弥さやか。元々、スポーツ万能なお嬢様という設定でしたが、いざ柔道を始めてみれば柔に、まったく歯が立ちませんでした。

    柔と戦えば、速効で投げられて差し歯が取れるという、水戸黄門のような王道展開で敗れ去る黄金パターン。まさに、作中ではカマセ犬という言葉がピッタリでした。

    あ、作中で最もカマセ犬全開だったのはソ連のフルシチョワです。強豪として登場して柔に敗れ、同じカマセ犬キャラのさやかお嬢様にまで負けて、ラストのバルセロナ五輪ではフランスのマルソーのカマセになって1回戦敗退

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    最後までカマセ犬

    特に逸材なのは、フルシチョワはソ連崩壊によって、貧乏生活をしており、日本で柔道のコーチになる生活を蹴ってまでバルセロナ五輪に意気込んだのです。で、柔と戦わずしてカマセ犬として敗れ去ったことです。「ヤワラと本気で戦うには、五輪しかない」と言って、コーチの話を蹴って臨んだのに。同じ境遇だったテレシコワは、柔と本気の勝負をして、全力を出し切り満足して引退したのに、フルシチョワときたら…。

    いつか必ず、もう一度お前と戦う。それまでチャンピオンでいろ、ヤワラ

    ちょ…お前まだ柔道やるのかよ
    まさか4年後のオリンピック目指すのか…、もう引退して日本でコーチしろよ!と本気で心配してしまったんですが、彼女はその後どうなったのか。なんというか泣けます

    話がそれましたが、フルシチョワに続くカマセ犬キャラだったさやかお嬢様。柔のライバルを自称するものの、チートキャラ柔に歯が立たず、苦戦させたことすらありません。毎回出てきて、速効で投げられて差し歯が取れるという方程式で、敗れ去りました。柔に弱いと断言された藤堂由貴と互角程度。挙句の果てには、短大から柔道始めた伊東富士子と引き分けるなど、チートキャラ柔の敵ではありませんでした。

    もちろん、さやかお嬢様は世界でもトップの強豪。ソウル五輪銀メダル、バルセロナ世界選手権優勝…と、世界のトップでありますが、チートキャラの化物である柔には歯が立たず、苦戦すらさせられません。しかし、彼女は最後の最後に柔と互角に戦ってみせたのです。天才相手にどう戦ったかといえば…。

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    天才を追い詰める凡人

    寝技
    「YAWARA」は天才はどうやっても天才で、凡人が勝てないものでした。しかし、凡人さやかお嬢様は、最後のバルセロナ五輪代表選考大会の決勝で、天才チートキャラ柔を初めて苦戦させるどころか、あと一歩まで追い詰めたのでした。立ち技では勝負にならないことを知り、コーチには「立ち技では猪熊柔は500パーセント強い」と言われ、派手好きのお嬢様が立ち技を捨てて、地味な寝技で責め立てる

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    凡人の意地

    最期の最期で、天才に肉薄する凡人…。感動した!

    そんなわけで、立ち技では勝負にならなくても、寝技に勝機を見出すというのは、柔道漫画ではかなり熱い展開であるといえます。で、「からん」も立ち技で歯が立たなかった先輩に寝技で挑むというのは燃える展開なわけですよ。

    あ、ちなみに女子高校の柔道物語といっても「帯をギュッとね!」みたいな、ブルマ+柔道着みたいな萌え要素は絶無です。