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    「3月のライオン」誰も知らない世界へ向かってく勇気を"ミライ"っていうらしい

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    3月のライオン 7 (ジェッツコミックス)
    羽海野 チカ
    白泉社 (2012-03-23)

    「3月のライオン」7巻が発売されました。
    読むたびに感情が揺さぶられてしまいます。泣いたわ。前巻が「戦いの6巻」というキャッチコピーで7巻が「勇気の7巻」です。キャッチコピーだけでグッとくるってもの。

    7巻冒頭の64話「銀の羽根」がのっけから響きまくる。前回まで悪役として描かれてた山崎順慶の後日談。山崎の回想から始まるんですけど、これが凄いインパクト。「信じれば夢は叶う」というのは本当だけど、一文が抜けている。「信じて努力を続ければ夢は叶う」というのが正解である。さらに言えば…。

    信じて
    他のどのライバルよりも1時間長く
    毎日 努力を続ければ
    ある程度迄の夢は、かなりの確率で

                      叶う―――だ

    なんだこの台詞は。
    まったくもって同意すぎる。「はじめの一歩」の鴨川会長の「努力した者が全て報われるとは限らん。しかし成功した者は皆すべからく努力しておる!」に勝るとも劣らない屈指の名言で真理だと思う。

    死にもの狂いで信じて努力を続けて夢は「ある程度まで」「かなりの確率で」叶う。絶対に叶う保障など当然ない。だからこそ努力を続けるのには勇気がいるようになる。報われない努力を報われると信じて続ける勇気。山崎はいつの間にか、その"勇気"がなくなり、リミッターの効いた努力しか出来なくなる。

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    山崎順慶

    将棋を真っ暗な水底に潜る事に例え、潜れば潜る程「答え」が手に入ったのも昔。今では潜っても「答え」など見つからず先に進めなくなる。リミッターの効いた努力しか出来なくなった山崎を尻目に零と二階堂は何度も果敢に潜っていく。そして山崎ももう一度勇気を出して潜る、頑張る。

    そういえば、山崎と対局した二階堂棋譜を見て零は「まるで一篇の冒険小説」のようだったと例えていました。

    7
    二階堂の棋譜

    「二階堂の棋譜を思い出していた。『迷い』『ためらい』『ひるみながら』もそれでも『自分の今まで』を信じて『憧れの地』目指して火の玉みたいに突き進む…まるで一篇の冒険小説のようだった」

    迷って躊躇って怯みながら、自分の今までを信じて突き進んだ二階堂。どれだけ勇気がいったことか。二階堂も恐怖がないわけじゃないけど何度も潜っていく。

    零にしても泳いで泳いで泳いだ末に辿りついた島から次の島に向かう気力はないと例えていた(11話)。後藤に為す術もなく敗れ「仕切り直しだ、一からな」と誓う三角もそう(26話)。名人に惨敗しこれからも途方に暮れるけど「また一から頑張りますか」と述べた島田もそう(43話)。何度も挫折し立ち止まろうとするも、なんかんのでもう一度頑張る。今まで「3月のライオン」では数々の棋士達が何度も挫折を味わって、その度に何度も立ち上がる描写が描かれていた。それがグッときたものです。

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    零&島田一から頑張る

    「3月のライオン」って後姿で歩いて行く描写が凄く多いんですよね。物語の締めは特に多い。それはキャラが前進する時に描かれている感じ。前を向いて先に進むって感じが実にグッときます。でも前を向いてもう一度頑張るってのは凄く勇気がいることなんですよね。勇気ある前進。

    「勇気の7巻」のキャッチコピーは実に的を得ている。前巻が「戦いの6巻」も的を得ていたいけど、戦うには勇気がいる。将棋だけでなく何事でもそうだと思うんですよ。仕事にしても、勉強にしても、スポーツにしても。ある程度まではソコソコの努力でいけるけど、そこから先は直ぐに結果が出ない報われない努力をし続けなくちゃいけない。そこから努力できるかが大事なんですよね。

    現実と戦うには勇気がいるんですよ。それは当然イジメ問題もそう。
    個人的に印象的だったのはあかりさんの勇気です。

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    あかりさんの勇気

    ひな…おねいちゃん行くわよ。三者面談だって何だって。どこまでもひなの味方だからね

    あかりさんの勇気は良い。7巻のキモはひなちゃんのイジメ問題の解決。学年主任の先生の介入で一気に解決し、客観的に見ればあかりさんは役に立たなかったといえるかもしれない。でも、勇気を出して向き合ったあかりさん。イジメっ娘の母親に何も言い返せなかったけど、「おねいちゃん、ありがとう来てくれて」「ひなの味方でいてくれて…」と、それだけで嬉しいと言ってくれるひなちゃんにグッときます。結果より経過を見ててくれるひなちゃんに感動する。

    それは零もそう。「結局、僕は何もできなかった」と言う零にそんな事はないと、私は嬉しかったと言うひなちゃん。現実は結果が全てで、頑張ったという過程なんて誰も評価しない。だから頑張るのは勇気がいるんですけど、その頑張った事を見ててくれて感謝するひなちゃんに胸が熱くなる。

    ひなちゃんの関連エピソードは目頭が熱くなってしまうもの。心から良かったと思えました。あと個人的に僕の心の琴線を刺激したのは河ですね。というのもひなちゃんはひとりで泣きたくなると河に向かうんですよね。

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    ひなちゃんは河へ向かう

    彼女はいつも、泣きたくなると、ひとりで河に向かっていた…」(63話)

    母親を思い出した時、いじめがひなちゃんに向いた時、ひなちゃんは孤高に河で泣いていた。7巻でもひなちゃんは河へ向かう。あかりさんと手を繋いで味方と言われた時、いじめ問題が解決して友達とクッキーを焼いたのを零に報告した時。

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    ひなちゃんはやっぱり河へ行く

    ひとりで河で泣いていた時も零が来てくれてひなちゃんは凄く嬉しかったことでしょう。あかりさんが味方と言ってくれたのも嬉しかったことでしょう。悲しくて泣きたくなって河へ向かうひなちゃんは、嬉しくても河へ向かうのである。嬉しくなって河へ向かうひなちゃん最高や!ひなちゃんは泣き顔と河も可愛いけど、笑顔と河が最高に似合う。

    しかし、どう見ても零とフラグ立ちまくってるんだけど、ラブがコメる展開はあるんだろうか。
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    「3月のライオン」が超面白い件

    3月のライオン 7 (ジェッツコミックス)
    羽海野 チカ
    白泉社 (2012-03-23)

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  • 「3月のライオン」逃げない、自分信じる、戦う、ブヒる

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    「ハチミツとクローバー」「3月のライオン」の羽海野チカ先生の初短編集「スピカ」。収録されているのは「冬のキリン」「スピカ」「ミドリの仔犬」「はなのゆりかご」「夕陽キャンディー」「イノセンスを待ちながら」の6編。

    個人的にグッときたのは表題作となっている「スピカ」。
    野球部の少年と、バレエに打ち込む少女の交流を描いた青春もの。これが実に素晴らしく、この2人が「3月のライオン」の高橋くんとひなちゃんに似ているというか通じるというか。というのも後書きで羽海野先生自身が以下のようにコメントしていました。

    今思うと、ライオンのひなちゃんと高橋くんは、ここから来たのかな、と。

    ストーリーと言えば、バレエに打ち込む少女が親に「そろそろバレエはお休みにしたら?大学のおうが大事よ」とか「バレエで食べていける人なんて何千人にひとりもいない」と散々言われてしまい落ち込むも、野球少年に励まされ頑張るという話。

    とにかく、台詞が胸を打つ。
    特にヒロイン・美園がコンクールでいい成績取らなきゃと思うも、弱音を見せた時の台詞が胸熱すぎる。

    27
    美園

    なにかを好きになるって、そんなに悪いことなのかなあ。笑われるほど?

    そして「泣いてもやめられないほど好きなものがあるってのはさ、きっとすごいことなんだぜ」と励ます少年。鳥肌が立ちますよね。感情が揺さぶられるというか。

    そして思い浮かべるのは、「3月のライオン」のひなちゃんと高橋くんだけでなく、名人戦で「『抜けない事があきらか』だからって、オレが『努力しなくていい』って事にはならない」と巨大な壁に果敢に挑んで散った島田八段。
    関連、「3月のライオン」が超面白い件

    弱くても勝てなくても無理でも、それでも、と。ひたむきに諦めずに戦い、進む姿。どうやら、僕は羽海野チカ先生の描く「弱者が諦めずに邁進する」というものが大好物だったようで、感情を激しく揺さぶられるんだってばよ!

    3月のライオン 6 (ジェッツコミックス)
    羽海野チカ
    白泉社 (2011-07-22)

    戦いの第6巻
    なんだこの面白さは。脳からおかしな汁が飛び出てきました。脳汁出まくるし、震えるし、鳥肌立つし。圧倒的に面白いじゃないですか。帯のとおり「戦い」。

    ぶっ倒れるまで指した二階堂。
    またいちいち台詞回しが凄い。二階堂の棋譜を見た零は以下のような感想を述べてました。

    「迷い」「ためらい」「ひるみながら」も
    それでも「自分の今まで」を信じて
    「憧れの地」目指して火の玉みたいに突き進む…
    まるで一篇の冒険小説のようだった

    61話「冒険者たち」というサブタイトル通り、冒険者という言葉が本当にシックリきますね。成功するかどうか成否が確かでないことを、あえてやる冒険者。個人的に「3月のライオン」は、成否が定かでなくても「挑戦する」「逃げない」キャラがクソ熱い事に尽きますよ。

    学校で「いじめ」を食らっているひなちゃんは、逃げなかった。
    修学旅行に無理して行かなくてもいいとあかりさんに言われても「行く」と断言したひなちゃん。

    30
    逃げない

    「行かなきゃダメな気がする…。でないと、この先ずっと何年も大人になってからも後悔しそうな気がする…」

    ひなちゃんは本当に強いな。
    絶対に逃げない。対してキングオブ逃げリストの零
    本当の家族が他界したという事実から「泣いても仕方ないから諦めて」「悲しいから考えないようにして頭から追い出して」と逃げた零、幸田家から逃げだした零、凄い逃げっぷりでした。

    メタルスライム、はぐれメタル、メタルキング、そして桐山零こそが逃げの代名詞ですよね。そして何故か逃げ出しまくりな人生のくせにプロになって1年遅れで高校に行った理由を高橋くんに以下のように言ってました。

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    高校に行った理由

    零「僕は本当に将棋しか特化すてないんです。人付き合いも苦手だし、勉強は好きだけど学校には馴染めませんでした。人生を早く決めた事は後悔していません…。でも多分、『逃げなかった』って記憶が欲しかったんだと思います」

    高橋くんは理解してくれました。ピンチの時に監督に「自分を信じろ」って言われけどサボったり、逃げたりしたらそれが出来ない、と。

    逃げない=自分を信じる

    高校に通う理由を「逃げなかった」という記憶が欲しかったと言ってました。散々逃げまくったチキンの分際で何を抜かすのでしょうか、この男は。一に逃げ、二に逃げだったくせに。そんな逃げばかりの零が二階堂との対局で千日手に逃げた山崎順慶に対して…。

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    「自分の問題(読みの弱さ)を克服せずに、他人に背負わせる事を『正しい』と言うのなら、僕の答えは―ただ一つ。ふざけるな

    逃げるのNG(ふしだらNG風に)
    6巻にして零は完全に覚醒したというか成長していますね。将棋に対して「勝つ理由が無い」とか抜かすも負けると何故か苦しいという中途半端全開だったのに、初めて勝ちたいと強く思うようになるのです。

    29
    勝つ

    「そして何より今は彼女(ひなちゃん)の為に…!」(54話)
    「力になりたいそれなのにどうやっらた力になれるのかが解らない。だけど、これよりほかに出来る事を持ってない。だから、勝ちたい。勝ちたい。―勝ちたい。どこか一つだけでも強い存在でありたい。―そうだ僕は必要とされたい」(58話)

    初めて勝ちたいと強く思い、それをひなちゃんに口に出して「絶対勝ってくるから」と告げた零のかっこよさは半端じゃありません。「居場所」がないとかずーっと思ってた零が必要とされたいと思い戦おうとするのです。勝つ理由が出来ました。初めて欲が出ました。「それは純粋な欲じゃない…」と、良い事か悪い事か解りません。でも林田先生に背中を押して貰いました。

    32
    背中押された

    「必要とされたい」「だから強くなりたい」
    それのどこが不純なんだ?と

    自分を信じる。逃げない。
    今まで自分で何がしたいのか謎だった零が明確に目標を持って戦う。熱いっすなー。合ってるか分からないけど、勝てるか解らないけど、正解かも分からないけど、それでも自分を信じて突き進むっちゅーの。迷い、ためらい、ひるむも自分信じる零がニートから冒険者になったんだってばよ!そりゃ、死んだ魚のような目に火が付くってものですよ。

    でもキモはひなちゃん
    ひなちゃんの逃げずに戦う姿勢も熱いけど、泣き顔ですよね。「スピカ」の美園にしても、ひなちゃんにしても羽海野先生の描く女の子の泣き顔の可愛さは半端じゃありません。

    33
    ひなちゃん

    ブヒィィィィィ!

    ひなちゃんにはいじめとか戦う姿勢とか胸が張り裂けそうになるけど、泣き顔が可愛すぎて劣情を抱く(結論)


    3月のライオン 6 (ジェッツコミックス)
    羽海野チカ
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    3月のライオン 5 (ジェッツコミックス)
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    3月のライオン 4 (ジェッツコミックス)
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